仏報ウォッチリスト

ここは仏教の最新情報、略して《仏報》の材料をとりあえず放りこんでおく倉庫です。

2016年4月の講演

東京近辺で4月に開かれる講演・講座をメモします。開催日順。詳細は各主催者または会場にお尋ねください。(4/3更新)


  • 川崎大師仏教文化講座
     日時:4/3 14:00
     会場:川崎大師教学研究所講堂
     講師:福田亮成
     演題:弘法大師の文章を読む
     主催:川崎大師教学研究所


  • 在家仏教講演会
     日時:4/9 10:00
     会場:渋谷区・清風クラブ2階研修室
     講師:大童法慧
     演題:「他ならぬ私」を支えているものを考察する
     主催:在家仏教協会


  • 東大寺東京講座
     日時:4/9 14:00
     会場:青松寺観音聖堂
     講師:平岡昇修
     演題:サンスクリット原典と共に読む般若心経(4)
     主催:東大寺


  • 真宗文化センター講演会
     日時:4/9 13:30
     会場:真宗文化センター事務所内FORUMS
     講師:今井雅晴
     演題:親鸞と兄弟子/親鸞善鸞
     主催:真宗文化センター


  • 南無の会辻説法
     日時:4/13 19:00
     会場:常円寺
     講師:本多靜芳
     演題:(題未定)
     主催:南無の会


  • 『摂大乗論』に学ぶ
     日時:4/14 19:00
     会場:青松寺観音聖堂
     講師:竹村牧男
     主催:青松寺



  • 仏教カルチャー・セミナー
     日時:4/16 13:30
     会場:中野サンプラザ研修室
     講師:阿満利麿
     主催:日本仏教鑽仰会(03-3967-3288)






  • 仏教聖典を生活に活かす会
     日時:4/28 13:30
     会場:仏教伝道センタービル7F
     講師:一島正真
     主催:仏教伝道協会


  • いのちを見つめる集い
     日時:4/28 13:30
     会場:江東区・正覚院
     講師:佐山哲郎
     演題:童謡唱歌に学ぶ
     主催:仏教情報センター


  • 東大寺東京講座
     日時:4/30 14:00
     会場:青松寺観音聖堂
     講師:北河原公敬
     演題:観音経を読む(17)
     主催:東大寺



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能「名取ノ老女」

1週間で2回目の国立能楽堂に行き、復曲能「名取ノ老女」を見ました。名所と伝説を盛り込んだ作品が震災復興の願いを込めてよみがえる。芸能とはこうやって生まれてゆくのかと感動しました。
名取の老いた巫女に熊野から山伏が神託を届ける。梛の葉に虫食い跡で書かれた熊野の神詠「道遠し年もやうやう老いにけり思ひおこせよ我も忘れじ」に老女は感激し、「熊野の本地」を語り、法楽の舞を見せる。
「熊野の本地」は室町期に流行した熊野権現の由来の物語り。〈……もとはこれ天竺摩迦陀国の主として、天下を収め給へば、海内ことに静かなり/然るに千人の后を揃ふれども/王子誕生なきなかに、末の后の御衰殿、めでたく懐妊おはします/九百九十九人の后たち深く妬み/武士かたらひ、深山にて首を刎ねさす/されどいかなる不思議にや、死骸はやぶれ朽ちもせず、たひらかに王子誕生す。御子は首なき母の乳をぶくし、虎狼を供として、すくやかに育ち、三つの歳、虫食いの詠に導かれ、叔父の上人見いだして、麓の寺にて養育す……〉
復活上演の過程も興味深く思いました。パンフレットに「上演台本について」という一文があります。今回は1554年の謡本をもとに現代の研究者(小田幸子・小林健二)が台本を作成したそうです。どうもお能では代々受け継がれてきた詞章や演出を寸分たりとも変えてはならない印象があります。しかしこの制作裏話の中に、元本の謡曲は抽象的だから別のネタに差し替えたとか、重複するセリフを削除したとか、あっけらかんと書いてあってちょっと驚きました。
現代の詞章は分かりやすいです。分かりやすいだけに、手応えがやや足りないようにも思えます。逆に現代語の響き、たとえば「老眼」とか「悪魔」といった言葉にハッとしました。
パンフレットには佐藤弘夫先生の寄稿「浄土に誘う神」があり、東北の熊野信仰について解説されています。
パンフレットの「現代能楽考」というインタビュー集も読み応えがあります。釈徹宗さん〈人間というのは「つながり」を実感すれば、明日も生き抜こうという気になる。…時にバリアをおろして、無防備な自分になる時間と場所が必要なんですね。宗教儀礼や伝統芸能は、そういう場なんです。…伝統芸能はこちらが感度を上げて、チューニングしていかねばならない。だからバリアがはがれ、共振現象がおこりやすい心身を育むことができます〉。中沢新一さん〈室町時代の芸能哲学というのは、切断して、くっつける、ということで成り立っています。…能の典型的な構成は、前場でまず生死を切断しておいて後場で繋ぐ。そして繋いだまま神仏の世界に昇華させるのが、「祈り」と呼ばれる構造です〉。

http://www.ntj.jac.go.jp/nou/27/natorinoroujo/natorinoroujo.html
http://www.ntj.jac.go.jp/schedule/nou/2015/3982.html

能「姨捨」

国立能楽堂お能姨捨(おばすて)」を見ました。山中に捨てられた老女が見せる舞。にじみ出る悲嘆、悔恨、怨嗟、諦観。
設定として意外だったのは、宗教者が出ないことです。老女と会うのは都の者。旅僧のように供養をしてくれず、最後は見捨ててさっさと引っ込んでしまう。その代わりと言えるのは、月でしょうか。中秋の名月の光が終始舞台に降り注ぎ、老女の「執心の闇」を照らしている。ただし月は満ち欠けがあり、世の無常をも示しています。
楢山節考』のように身内は登場しません。捨てられた経緯はアイが語るのみ。前場では老女の出自が分からず、中入りで説明があって、後場では同情すべき相手に変わる。でも凡人にはいかんともしがたい。で、残された老女は姨捨山になったといいます。
詞章には仏教的な要素が満載です。〈しかれば諸仏のおん誓ひ いづれ勝劣なけれども 超世の悲願あまねき影 弥陀光明に如くはなし さるほどに 三光西に行くことは 衆生をして西方に 勧め入れんがためとかや 月はかの如来の 右の脇侍として 有縁をことに導き 重き罪を軽んずる 無上の力を得るゆゑに 大勢至とは号すとか〉。このあと極楽の描写が続きます。三光は日・月・星の光。勢至菩薩は月の本地仏
シテはゆっくり舞台を回る動作を繰り返します。太鼓が威勢を増すのではなくしっとりした脈動のために使われているのが印象的。さしてドラマを見せるわけでもないのに、三老女の一つとか最奥義曲などと言われ、2時間半の上演。深い余韻に浸りました。
http://www.kamiasobi.com/works2016.html

2016年3月の講演

東京近辺で3月に開かれる講演・講座をメモします。開催日順。詳細は各主催者または会場にお尋ねください。(3/1更新)







  • 『摂大乗論』に学ぶ
     日時:3/10 19:00
     会場:青松寺観音聖堂
     講師:竹村牧男
     主催:青松寺





  • 真宗連続講座『正信偈』に学ぶ浄土真宗
     日時:3/12 15:00
     会場:築地本願寺
     講師:本多靜芳
     演題:まとめ まことの真宗者と社会での役割
     主催:築地本願寺


  • 「同行二人」発刊記念講演会
     日時:3/19 13:00
     会場:川崎大師教学研究所講堂
     講師:小池満紀子
     演題:浮世絵に見る川崎の街とお大師さま
     主催:川崎大師教学研究所


  • 仏教カルチャー・セミナー
     日時:3/19 13:30
     会場:中野サンプラザ研修室
     講師:阿満利麿
     主催:日本仏教鑽仰会(03-3967-3288)


  • 青松護持会講座「仏教歳時記」
     日時:3/19 13:30
     会場:青松寺観音聖堂
     講師:金子真介
     演題:第8回 春のお彼岸
     主催:青松寺


  • 仏教聖典を生活に活かす会
     日時:3/24 13:30
     会場:仏教伝道センタービル7F
     講師:渡辺章悟
     主催:仏教伝道協会


  • いのちを見つめる集い
     日時:3/24 13:30
     会場:江東区・正覚院
     講師:茂田真澄
     演題:人に向きあうこと、世界に向き合うこと
     主催:仏教情報センター


  • 在家仏教講演会
     日時:3/26 10:00
     会場:中野サンプラザ研修室
     講師:田上太秀
     演題:慈悲を問う 互いに力となり身となる教え
     主催:在家仏教協会





【!ただいま書き込み途中です!】

翁・竹生島・橋弁慶

第56回式能でお能「翁」「竹生島」「橋弁慶」を見ました。能楽協会主催の昼の部のプログラム。式能というのが他の舞台とどう違うのか、きっと関係者の側ではその格式などで厳然たる違いがあるのでしょうが、見る側にはあまりピンと来ません。
「翁」は前回、会場の入り口で仕事の電話などしていたばかりに開始時間に遅れて入場できなかったという因縁の演目で、今回は無事着席。荘重な翁、そのあとの三番叟の奮闘ぶりが印象に残りました。
竹生島」は2回目。社殿には弁才天、湖上には龍神が舞い踊ります。〈もとより衆生、済度の誓ひ、さまざまなれば、あるいは天女の、形を現じ、有縁の衆生の、諸願を叶へ、または下界の、龍神となって、国土を鎮め、誓ひをあらはし…〉。女人禁制をあげつらう側と、あっさり破る側が対比され、その心の狭さを思い知らされるような展開。
「橋弁慶」は初見。「船弁慶」の同工異曲かと思ったら全然違いました。五条の橋の牛若丸の物語。弁慶が降参して従者となる。まことにたわいないお話で拍子抜けしました。

2016年2月の講演

東京近辺で2月に開かれる講演・講座をメモします。開催日順。詳細は各主催者または会場にお尋ねください。(2/1更新)


  • 禅をきく会
     日時:2/1 13:00
     会場:メルパルクホール
     講師:中溝裕子「食べることは生きること」
        田上太秀「ほとけも昔は凡人だった」
     主催:曹洞宗詳細



  • 東大寺東京講座
     日時:2/6 14:00
     会場:青松寺観音聖堂
     講師:平岡昇修
     演題:だれも知らないお水取り
     主催:東大寺


  • 南無の会辻説法
     日時:2/10 19:00
     会場:常円寺
     講師:野坂法行
     演題:人間社会に宗教が必要なわけは?
     主催:南無の会


  • 心を磨く正眼セミナーin東京
     日時:2/11 14:00
     会場:龍雲寺
     講師:柴田文啓「意義ある第二の人生を」
        山川宗玄「無心の一歩」
     主催:東京禅センター


  • 『摂大乗論』に学ぶ
     日時:2/11 19:00
     会場:青松寺観音聖堂
     講師:竹村牧男
     主催:青松寺


  • 在家仏教講演会
     日時:2/13 10:00
     会場:大手町ビル
     講師:安冨信哉
     演題:悟りと浄土 他力の救済
     主催:在家仏教協会


  • 東大寺東京講座
     日時:2/13 14:00
     会場:青松寺観音聖堂
     講師:森本公誠
     演題:聖武天皇の実像を追って(49)
     主催:東大寺




  • 第22回愛宕薬師フォーラム
     日時:2/17 14:00
     会場:別院真福寺地下講堂
     講師:宮治昭
     演題:仏像(ほとけ)たちは何を語るか
     主催:智山教化センター


  • 仏教カルチャー・セミナー
     日時:2/20 13:30
     会場:中野サンプラザ研修室
     講師:奈良康明
     主催:日本仏教鑽仰会(03-3967-3288)


  • 青松護持会講座「仏教歳時記」
     日時:2/20 13:30
     会場:青松寺観音聖堂
     講師:金子真介
     演題:第7回 涅槃会
     主催:青松寺


  • 真宗連続講座『正信偈』に学ぶ浄土真宗
     日時:2/20 15:00
     会場:築地本願寺
     講師:本多靜芳
     演題:法然聖人(2)念仏と信心(数ではなく質)
     主催:築地本願寺


  • 第578回日曜講演会
     日時:2/21 10:00
     会場:武蔵野大学グリーンホール
     講師:寺崎修
     演題:仏教界の抱える課題
     主催:武蔵野大学



  • 仏教聖典を生活に活かす会
     日時:2/25 13:30
     会場:仏教伝道センタービル7F
     講師:一島正真
     主催:仏教伝道協会


  • いのちを見つめる集い
     日時:2/25 13:30
     会場:江東区・正覚院
     講師:若松希和
     演題:Live and love your life 自分自身を生きる
     主催:仏教情報センター


  • 在家仏教講演会
     日時:2/27 10:00
     会場:大手町ビル
     講師:山折哲雄
     演題:悟りと浄土 確信の〔小乗〕と迷いの〔大乗〕
     主催:在家仏教協会




「書の流儀」

出光美術館で「文字の力・書のチカラⅢ 書の流儀」を見ました。
第1章は書の多彩な表現を主に仏教関連の作品で提示。奈良時代薬師寺経に見える楷書の歴史。理趣経種字曼荼羅の絵画的な遊戯。日課念仏のリズム感。明恵筆消息の即興的な字を見ればその内容を読み取りたいと思わずにはいられません。ここまでだけで、ひとくちに書の鑑賞といってもいかに見方が多様で、見る側が作品によって意識の切り替えを行なっているかがわかります。
第2章は頼山陽とその書風を慕った人たちの作品の対比。タイトルの「流儀」とはここらを指すのでしょう。
第3章は墨跡。前章から目を転換。〈墨跡については、元来、巧拙を問うことはなく、ほぼ人物の歴史的評価を保証とした評論や解説になっていることもその証だろう。つまり、墨跡は書家の手がける作品の対極にあることになる〉(図録解説)。好き勝手に書いているように見えて、一貫する何かがあります。それは禅味といえばいいのでしょうか。厳めしい一行書と、ユルい禅画を貫くもの。かすれも魅力のひとつ。伝尊円親王のあざやかな鏡文字と逆さ文字にうなります。
第4章は仮名古筆、第5章は伏見天皇、第6章は本阿弥光悦松花堂昭乗。なるほど継承されてゆく書というのはこういうものかという見本のオンパレード。流儀に忠実といっても決して没個性ではなく、かえって主張が浮かび上がってくるところに味わいを感じました。