仏報ウォッチリスト

ここは仏教の最新情報、略して《仏報》の材料をとりあえず放りこんでおく倉庫です。

履歴

 「仏原」「車僧」

宝生能楽堂でお能を2番見ました。「仏原」は、平家物語の白拍子仏御前が故郷仏原で僧の前に姿を現す話。類曲の「祇王」は現在能で清盛に白拍子祇王よりも仏御前が寵愛される場面でしたが、本作はその後日談に当たります。 後場では舞が中心で、祇王が捨てら…

 「熊野 聖地への旅」

和歌山県立博物館で世界遺産登録10周年記念特別展「熊野―聖地への旅―」を見ました。 熊野と聞いて思い浮かぶのは上皇の御幸と、庶民による蟻の熊野詣。けれどもそれらは歴史のほんの一齣にすぎません。展示は神話の時代から平成の作品まで扱っており、まさに…

 「醍醐寺」

渋谷区立松濤美術館で「御法(みのり)に守られし 醍醐寺」を見ました。展示替え分も含めて全44点とこぢんまりした内容ながら逸品揃い。夏の奈良国立博物館の特別展とは直接関係ないようで、冒頭の説明によると、館長さんが以前に醍醐寺の展覧会を担当したの…

 「日本国宝展」

東京国立博物館で「日本国宝展」を見ました。「祈り、信じる力」をキャッチフレーズに国宝の宗教美術を中心とする展示。当然ながら同館所蔵の作品が多く、お蔵出しの感が強いものの、日ごろの企画に引っかからずこういう機会でないとスポットが当たらないで…

 「采女」「鵜飼」

宝生能楽堂で、お能「采女(うねめ)」を見ました。6年ぶり2回目。前回2008-07-21 小書「美奈保之伝」は、道行省略、前シテ登場の演出変更、詞章改訂など、原曲とずいぶん違うもようで、謡曲集を見ながらどこが違うのかを確認するのが大変。でもこういう見方…

 「宗像大社国宝展」

出光美術館で「宗像大社国宝展 ―神の島・沖ノ島と大社の神宝」を見ました。 福岡県の宗像大社(むなかたたいしゃ)は、宗像市内と沖合の大島、そして玄界灘の沖ノ島にある三つの宮からなります。とくに4世紀にまでさかのぼる祭祀具が発見された沖ノ島は「海…

 「東北のオカザリ」

多摩美術大学美術館で、展覧会「東北のオカザリ―神宿りの紙飾り―」を見ました。福島・宮城・岩手の伝わる切り紙飾りを、現物と写真で紹介。神社の正月飾りが中心。紙飾りは大きく分けて、網飾り・切り透かし・御幣の三つ。とくに網状の細工でめでたい物をつ…

 「庶民の祈り」

神奈川県立歴史博物館でコレクション展「庶民の祈り −御札・御守のさまざま−」を見ました。タイトルの通り所蔵品の蔵出し。メイン展が別にあって、こちらは無料で見られるおまけのような扱いですが、2部屋を使った中身は充実しています。以下、説明文のメモ…

 「百万」

国立能楽堂の興福寺勧進能で「百万」を見ました。 この作品は2012年2月以来、2回目の鑑賞。その間に見た子を失う話と比べ、当作はかなり早い段階で子が母の存在に気づきます。その確証を得るためしばらく遠くから見ていて、クライマックスで名乗り出る。早く…

 祈りの造形展

五島美術館で「祈りの造形展」を見ました。仏教美術の中でも文字作品を中心に展示。 古写経は奈良時代の願経から大聖武、平安の装飾経まで多彩。ただし展示の並びが、古い順なのかテーマ別なのか珍しい順なのか不明で戸惑う。絵入りの過去現在因果経はやはり…

 「三井寺」「熊坂」

お能「三井寺」を見ました。4年ぶり2回目。その間に他の物狂能を見てきてここに戻ってみると、いたってシンプルに感じます。感情のみならず、視覚(秋景色)と聴覚(鐘の音)に訴えるのも特徴。 まず清水寺を訪れて夢告を得るという冒頭のワンクッションは何…

 「賀茂」「玉鬘」

お能「賀茂」を見ました。賀茂社の祭神を寿ぐ内容。舞いが三態、間狂言の三段ノ舞と、後ツレの天女ノ舞と、後シテの舞働。とくに天女がしっとりとしてよい。前半に水を汲む女が出て、クライマックスに別雷神が登場。水は農業に取って大切。 「法界無縁の衆生…

 起請文と牛玉宝印

國學院大學博物館で企画展「起請文と牛玉宝印」を見ました。人との約束を神仏にかけて誓う起請文は、寺社が発行する牛玉宝印という護符を刷った紙の裏に書くことが伝統となっています。現存最古の史料は1266年にまで遡る東大寺関連の文書だとか。そうした貴…

 山の神仏、チベット他

大阪・京都で展覧会を鑑賞しました。▼「山の神仏−吉野・熊野・高野」大阪市立美術館 http://www.osaka-art-museum.jp/sp_evt/deities-of-the-mountains/ ユネスコ世界文化遺産に登録されている紀伊山地の3霊場を、像・画・工芸品で一望。掘り下げ方が深い。…

 「小塩」「鉄輪」

宝生能楽堂で、お能「小塩(おしお)」を見ました。大原野に咲き誇る桜。在原業平の古歌をベースに、業平が述懐する恋の遍歴、二条后との出会いと別れ。 始めは昔の恋人への未練かと見えて、次第にしっとりとした詠嘆に思えてくるのは、散り舞う桜のせいでし…

 竹生島・隅田川

宝生能楽堂で、お能「竹生島」を見ました。竹生島の弁才天と琵琶湖の龍神が舞い舞い踊る。それを目撃することになる大臣が、龍神(漁師姿)および弁才天(女姿)と一緒に舟で島に渡るという趣向が面白いと思います。「女人禁制ではないんですか」「いいんで…

 「玉体安穏の祈り」

神奈川県立金沢文庫で、特別展「中世密教と〈玉体安穏〉の祈り」を見ました。 玉体(天皇の御身体)の守護、イコール鎮護国家のために執り行われてきた密教儀礼について、古文書や仏像・仏画で紹介。秘密の儀式を覗き見るかのような緊張が走ります。 とくに…

 仙厓/国分寺/小津

都内で比較的小規模な3つの企画展を見てきました。 1)ディスカバリーミュージアム「禅・仙厓」 永青文庫の所蔵品から、仙厓義梵の禅画20点弱を、羽田空港の片隅でひっそり公開。禅僧のエピソード、仏菩薩、動物など出光コレクションでもおなじみの画題の別…

 お能「呉服」

国立能楽堂で、お能「呉服(くれは)」を見ました。中国からやってきた女工が美しい織物を作って天皇に献上し、御代を祝福するという内容。タイトルの由来は中国の呉国であり、現大阪府池田市の地名であり、呉織(くれはとり)と漢織(あやはとり)という女…

 東洋文庫の仏教文書

東洋文庫ミュージアムで企画展示「仏教 ―アジアをつなぐダイナミズム」(1/11〜4/13)を見ました。 東洋文庫は東洋学の専門図書館で、その蔵書を展示する展覧会という性格上、印刷された書籍や手書きの経典など紙の文書が中心。インドで生まれた仏教がアジア…

 被災文化財の修復

東北歴史博物館「神さま仏さまの復興」と、せんだいメディアテーク「牡鹿半島のくらし展 in 仙台」を続けて見ました。▼「神さま仏さまの復興 ―被災文化財の修復と継承―」11/16-1/13 ▼「牡鹿半島のくらし展 in 仙台 ―再生・被災文化財」1/10-13副題にあるとお…

 鸚鵡小町・道成寺

観世能楽堂で、お能「鸚鵡小町(おうむこまち)」を見ました。 老いさらばえた小野小町が帝から送られた歌に対し一文字だけ改変した返歌を鸚鵡返ししたという物語。続いて請われるままに舞を見せる。それは在原業平が玉津島明神で舞った法楽之舞だといいます…

 古文書の展覧会

古文書の展覧会を3件見ました。 「中世の古文書」国立歴史民俗博物館 「こもんじょざんまい」神奈川県立歴史博物館 「平成25年度東寺百合文書展」京都府立総合資料館 いずれも、ふだんは表舞台に出てこない地味な存在の古文書の価値をいかに伝えるかに力点を…

 仙がいと禅の世界

出光美術館で、「仙がいと禅の世界」を見ました。江戸後期の禅僧・仙がいさんの書画を集めた出光コレクションから、今回は禅に関する作品を展示(がいは崖の山のない漢字)。 達磨・慧能・馬租・臨済・徳山・栄西ら祖師方の肖像、会ったことないはずなのに、…

 能「遊行柳」

宝生能楽堂で、お能「遊行柳」を見ました。 一遍上人の流れをくむ遊行の聖が、布教伝道の途中で老人と出会います。老人は朽ち木の柳の精で、遊行上人の念仏によって成仏します。観世小次郎信光が新黒谷での勧進能のために作った作品で、「西行桜」を踏まえて…

 歌舞伎「すし屋」

歌舞伎座・夜の部を見ました。通し狂言・義経千本桜の後半、「木の実」「小金吾討死」「すし屋」「川連法眼館」。なんといっても孝太郎のお里にしびれました。 「すし屋」は全編にわたって《勘違い》の悲劇なのだと改めて思いました。権太がすし桶を取り違え…

 「籠太鼓」「半蔀」

宝生能楽堂の銕仙会定期公演で、お能「籠太鼓」「半蔀」を見ました。 「籠太鼓(ろうだいこ)」は狂女を装った主人公が脱獄した夫をかばい、牢に入れられることを夫との形見と繋がれていると喜びます。時を告げる太鼓を叩いて歌ううち、その思いの強さに打た…

 「江戸ワールド」

台東区立書道博物館で企画展「中村不折コレクション 江戸ワールド」を見ました。3つに分かれた会期のうち、良寛上人の作品が出る第3期に合わせて訪問。 副題に「池大雅、良寛、小林一茶、伊藤若冲、渡辺崋山 etc.」とあるように、法帖など書のお手本が並ぶい…

 「和様の書」

東京国立博物館で特別展「和様の書」を見ました。会期中に駆け足1回を含む計3回訪問。 三跡以降かな文字が確立されてから近世までが勢揃い。仏教史に照らすと、和様に対する唐様である空海と禅宗の系統はすべてカット。そうなるとお坊さんの出番はほとんどな…

 「曼荼羅展」

根津美術館でコレクション展「曼荼羅展 宇宙は神仏で充満する!」を見ました。 曼荼羅(または曼陀羅とも)の語が指し示すものは幅広いのですが、本展では日本で平安〜室町時代に描かれた密教絵画に限定。そのヴァリエーションを館蔵品だけで見せてくれます。…