仏報ウォッチリスト

ここは仏教の最新情報、略して《仏報》の材料をとりあえず放りこんでおく倉庫です。

 忠臣蔵の本懐とは

休日中に歌舞伎座・昼の部を見てきました。通し狂言仮名手本忠臣蔵」前半の大序・刃傷・判官切腹・城明渡し。緊張感に満ちた重苦しい場面が続きますが、口跡の良い役者さんばかりでドラマの起伏がよく分かりました。でも――
横恋慕はいけない。侮辱はいけない。賄賂はいけない。いじめはいけない。短慮はいけない。自害はいけない。密会はいけない。逃避はいけない。放蕩はいけない。盗み見はいけない。復讐はいけない。
この物語をついに本懐を遂げて溜飲が下がるお芝居だと見る向きもありますが、それは違うのではないか、実は全編「ベカラズ集」である、そんな気がしてきたのです。
高師直の台詞に、馬鹿ほど怖いものはない、というつぶやきがあります。まったく馬鹿ぞろいだと思います。そうやって大舞台で体を張って〈私〉の馬鹿ぶりを示してくれているのですね。
そしておそらく、そんなベカラズが47例ほど組み込まれた芝居なんですよ。数え上げたわけではないけど、江戸の戯作者ならそれくらいの仕込みをきっとやっていると思います。