仏報ウォッチリスト

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 白隠展に行った

もう6月2日で会期が終わってしまうため大っぴらに勧めるわけにはゆかないのですけど、自分の覚え書きで書かせてください。一昨日に永青文庫の春季展「白隠和尚 禅僧の書画」と早稲田大学會津八一記念博物館永青文庫所蔵 白隠画の逸品」をハシゴしてきました。
永青文庫は前後期あわせて46点を展示、豪胆な達磨図から軽やかな戯画までその幅の広さが印象的。白隠禅師の絵はすらすらっと書いたように思えて、よくよく見つめると実は人物像の輪郭など筆先で何度も探り探り書き進めているのがわかります。
自ら清書した綴本「夜船閑話」の文字は優美で、丁寧にルビまでふってありました。
それにしても、どの作品も遠目にはよく見えるのに近づくと自分の影が映りこんでしまう照明にはちょっと困りましたわ。
ここから歩いて會津八一記念博物館へ。達磨・観音・祖師図など14点。これぞ白隠慧鶴というチョイスで統一感があってなじみやすい展示です。
絵柄の背景がうす黒くなっている作品が多いのですが、これはけっして紙が変色したのではなく、わざわざ薄墨を塗り込んであるのでした。乾いてから上に絵や字を載せているのですから、ずいぶん手間がかかっています。これだけ水分を含ませたら紙がごわごわしてしまうだろうに、と心配になったり。
観音図は背後を墨ベタに塗りつぶして、お姿と蓮華を浮かび上がらせる手法。凝っています。白抜きに見える文字はさすがに塗り残したのではなく、白い絵の具で上から重ねて書いてありました。
こういう細やかな趣向を感じ取るためにも、やはり本物を見なければいけないわけですね。もっと早く行けば良かった。