仏報ウォッチリスト

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 西行、覚鑁に会う

連日おなじ新聞ばかり取りあげて恐縮です。購読してすみずみまで読んでいるのはこの一紙だけなもので。
朝日新聞朝刊の連載小説、夢枕獏『宿神』でちょうど今、興教大師(こうぎょうだいし)覚鑁(かくばん)上人が理趣経を説くという場面が描かれています。
この小説の主人公は北面の武士・佐藤義清(さとうのりきよ=のちの西行)。道ならぬ恋に悩んで鴨川の河原に寝そべっていると、一人の僧侶が現れて読経を始めます。

月明かりに見れば、四十代後半かと見える僧であった。粗末な衣を身につけている。剃髪した頭には、短く髪が伸びかけて、髯には白いものも混ざっているようであった。
(中略)
「今、高野から都に着いたところでな、この河原で、夜を明かそうと思うてここまでやってきたれば、かような塚があったのでな、供養にと思い、経を読んだのじゃ……」

連載は10月6日付で第282回。少しさかのぼると9月27日から現在の章がはじまっており、10月1日付の冒頭にこれまでのあらすじが簡潔に記されています。