仏報ウォッチリスト

ここは仏教の最新情報、略して《仏報》の材料をとりあえず放りこんでおく倉庫です。

 九段目の五輪塔

前回の書き込み「歌舞伎座夜の部」の追加です。
仮名手本忠臣蔵九段目(山科閑居)』の後半、座敷の襖を開け放つと庭に雪で作った五輪塔があるのが見えます。どうやら大星親子の死の覚悟を意味するらしいこのシーンが、ここだけ見ると何だか今一つわかりにくい。
関連資料を読んでいたら、こんなふうに書いてありました。

原作は由良之助が祇園町の取巻に雪だるまを作らせながら帰って来る場面で始まる。ここを「雪こかし」と呼んでいるが今はカットしている。この雪だるまが後の雪の五輪塔になる。
(『歌舞伎座掌本』秋季号「狂言手習鑑」/水落潔)

つまりこの一幕は七段目「一力茶屋」の翌日の話なわけですね。戯れで作った雪だるまが実は……という狙いなのでしょうが、時間の都合で省略なのが残念。