仏報ウォッチリスト

ここは仏教の最新情報、略して《仏報》の材料をとりあえず放りこんでおく倉庫です。

 腹いせはやめて

あんまり愉快ではないエッセイを2つ読みました。
1つは、朝日新聞12/6付(東京本社夕刊12面)掲載の林家正蔵TOKYO歳時記』。内容をかいつまんで記すと、

  • 肉屋で揚げ物を注文したら「そんなに食べたらもっとデブになっちゃうよ」と言われ、以来その店に行っていない。別の日に八百屋で「師匠に売るような野菜は、うちには置いていないよ」と言われ、二度と行くものか。
    結語は〈余計な一言、言わぬが花なのにね。〉

もう1つは、週刊誌「L25」12/6号所収の吉田修一『a day in the life』第23回。要約すると、

  • 執筆依頼が留守電に。締切りや文字数を伝えたあと「このメッセージをお聞きになったら、一度こちらにご連絡ください」。これはおかしい、もう一度かけ直してくれる気持ちが欲しい。同じ調子の三度目のメッセージはすぐに消去、半日嫌な気分が残った。
    結びが〈小さいながらも持ち前の仏心で過ごしたい。〉

この2つの文章に共通するのは、筆者が自己弁護に終始していること。それがどうも気持ち悪い。あなたの心のありようなんかより、活字上でなじられて反論するすべもないお相手の方々が気の毒でしかたないのですが。
噺家と小説家が綴った文章ですから、これらの話には創作した部分があるのでしょう。きっと少なからず脚色されているので、ためらいなく公表できるのだと思いたいです。ならば、嘘でもいいから関係修復した後日談でも付け加え、丸くおさめてほしかった。こんな顛末があったおかげで今ではすっかり打ち解けました、みたいな。
「言わぬが花」なのはわかっているのに、「仏心」を持ち出されたことにカチンときた勢いで書いてしまいました。