仏報ウォッチリスト

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 瓦が語るを見た

先日、神奈川県立歴史博物館の特別展「瓦が語る かながわの古代寺院」(3/16まで)を見てきました。その名のとおり、発掘されたお寺の瓦(完品と破片)がずらり。展示数360点のうち、仏像が1体、素焼きの器がいくつか、古釘が何本かのほかは、瓦、瓦、瓦。このストイックな空間は、ある意味でスゴい。
とはいえ、けっして専門家だけに向けた展示ではないのです。畿内と同じ瓦が関東に存在した、という具合の謎解きめいたアプローチに引きつけられます。そして適宜設置されたパネルが親切。各寺の写真と紹介文、さらには瓦の基礎的な解説がとても有益です。鬼瓦、軒平瓦、平瓦、軒丸瓦、丸瓦が屋根のどの位置にあるものなのか、どうやって造られるのかという図示は勉強になりました。
それと、軒丸瓦表面に刻まれるデザインの洗練ぶりには目を見張りました(当館サイトで同展紹介のバックに使われている赤地に白抜きの文様ですね)。蓮華文、これはおなじみ。次いで多いのが忍冬文。忍冬と書いてスイカズラと読みます(ニンドウとも)。この植物名は知っていたし、この文様も見たことがあったのですが、両者が初めて繋がりました。忍冬と仏教の教理が関連あるのかどうかはこれから調べてみます。
万人向けではないけれど、その意気や良し、って感じの展覧会です。