仏報ウォッチリスト

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 「鵜飼」を見た

国立能楽堂お能「鵜飼」を見ました。
なりわいとして殺生せざるをえない鵜使いの悲しみを旅の僧侶が受け止め、供養する話。このワキ僧は〈安房の清澄より出でたる〉とのことで、日蓮聖人がモデルらしい。後シテが閻魔大王というのが意表をつきました。
むすびの詞章を引き写しておくと、

これを見かれを聞く時は、これを見かれを聞く時は、たとひ悪人なりとても、慈悲の心を先として、僧会を供養するならば、その結縁に引かれつつ、仏果菩提に至るべし、げに往来の利益こそ、他を助くべき力なれ、他を助くべき力なれ。

この「往来」という語が独特。物語の冒頭近くに〈往来の人〉〈往来の僧〉とあり、そこと響き合っているもよう。
なお、当公演は「特集・祈り」ということで、まず最初の演目として「高野山の声明 唄・散華・対揚」があったことを付記しておきます。