仏報ウォッチリスト

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 「木喰展」を見た

そごう美術館で「生誕290年 木喰展 庶民の信仰・微笑仏」を見ました(7/24まで開催)。
木喰上人作の仏像約130点と資料約30点。全国に散らばった作品を集めて各地巡回中。どれも一抱えほどの大きさの木彫像は独立した台に乗り、至近距離で四方から拝めます。
目に焼き付いたもの。千手観音の両脇に張り付いている妙に大きな手。釈迦如来の螺髪も大きくて薔薇の花のよう。丸くまんまる(木喰の和歌の一節)を地でゆく吉祥天。それとは対照的に硬質な甲冑を身にまとう毘沙門天。……と、それぞれ無二の特徴はあれど、驚くべきは、どれもおんなじ顔!
一木から彫り出す都合で表現の限界があるのはしかたない。たとえば身体から出っ張るべき腕は胴体にめりこみぎみで、つま先は正面でなく真横を向いている。だからきっと真正面から以外は観賞に堪えないだろう、と思うのは早計。意外にも側面からのお顔がどれも良いのです。眉・鼻・頬・唇、ちゃあんと横顔を形成してある。感嘆しました。
木喰は目標とした千体を彫り上げ、引き続き2千体彫ると宣言した人です(正確な制作総数は不明ですが現存数は600体以上とか)。でも1体ずつこんなに手間ひまかけて仕上げているのを見れば決して、たんに数をかせぐだけが目的でなかったことは明らかです。「自身像」の満面の笑みから、木喰の心意気が伝わってくる思いがしました。