仏報ウォッチリスト

ここは仏教の最新情報、略して《仏報》の材料をとりあえず放りこんでおく倉庫です。

 書の名宝展を見た

江戸東京博物館で特別展「北京故宮 書の名宝」を見ました。
宣伝では王羲之「蘭亭序・八柱第三本」ばかりを強調していますが、これだけを目当てに来ると拍子抜けするかも。本品はわずか左右70センチそこそこ、しかも真筆でないことは言うまでもありません。こんな人だかりに加わるより、展覧会の全貌を楽しむほうが賢い。いずれおとらぬ個性と品の良さにうっとり。
私の知識は唐や宋時代の書家の名をぽつぽつ聞いたことがあるという程度で、とても各品を批評する資格はないのですが、清代以後では乾隆帝や康有為の書もあって興味深く眺めました。
ところで当展では、わが任務であるところの、仏教との関連をほとんど見つけられませんでした。出陳品が儒教に重きを置く王宮の所蔵品であったことを思えば当然か……。でも日本書道史が僧侶なしに語れないことを考え合わせると、なんとも寂しい限りです。
以下に、作品の説明文からわずかな仏教がらみの個所を書き抜いておきます。

  • 黄庭堅「草書諸上座帖巻」(作品番号6)
    〈本巻は親友の李仁道のために、唐の法眼文益禅師の語録から、上堂語の一節を抄録し書き与えたものである。〉
  • 張瑞図「行書李白五言律詩軸」(31)
    〈張瑞図の書は禅僧によってわが国に請来され、その書を飾っておくと火厄を免れるという俗信もあり、日本では特に人気が高い。〉
  • 朱トウ※「行書抄録蘭亭序軸」(37)
    〈明朝が滅びると出家して僧となり、後に道士となる。晩年には八大山人と号して書画に専念。〉(※トウの漢字は大のしたに耳)
  • 石濤「行書七言古詩軸」(39)
    〈明の滅亡を期に僧となり仏門に帰依するかたわら書画をよくした。〉