仏報ウォッチリスト

ここは仏教の最新情報、略して《仏報》の材料をとりあえず放りこんでおく倉庫です。

 彫刻「二祖」公開

横須賀美術館の常設展を見ました。周辺を観光の途中、なにげなく暑さしのぎに寄ってみたところ、そのすばらしい芸術空間に心打たれました。高い天井から外光を取り入れた白壁の回廊に、近現代の日本人作家の絵画と彫刻がずらり。油彩画が多いような印象でしたが、目録を眺めると純日本画も数多く所蔵しており、明治以降の日本美術史を網羅するコレクションのようです。別棟の谷内六郎館では1300余点あるという『週刊新潮』表紙原画を順に展示。屋上からの眺めもアートさながら。思いがけず長居してしまったのは、外界が暑すぎるせいだけではありません。
現在の展示に仏教関連はないもよう。けれども次回の企画展「日本彫刻の近代」(10/28〜12/21)を予告する同館広報誌に、次の作品が写真付きで紹介されていました。

米原雲海の代表作、100年ぶりに公開!!
  《二祖》83.4×26.0×25.0cm 1908(明治41)年 個人蔵

米原雲海は、高村光雲の高弟として知られた木彫の名人ですが、現在残されている作品はわずかです。今回の展覧会では、幸運にも、今まで所在不明だった作品にめぐり合うことができました。その作品が《二祖》です。
「二祖」とは、禅宗の第二祖・慧可のこと。この作品では、慧可がナタのような刃物を握った右手を高く挙げて、いままさに左腕に振り下ろそうとしている瞬間のようすが、息のつまるほどの迫力であらわされています。それは、古い自分を捨てて、未来を切り開こうとする作者自身の姿なのかもしれません。
写真ではお伝えしきれないのが彫刻の魅力です。この機会にぜひ横須賀美術館へおでかけください!
  ――横須賀美術館ニュース『コリダール』vol.02から抜粋

つまり、雪舟《慧可断臂図》のあの場面に至る直前のお姿です。その写真さえお伝えできない微力なご紹介ですみません。ぜひ秋の会期中におでかけください!