仏報ウォッチリスト

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 スリランカ展を見た

東京国立博物館で特別展「スリランカ 輝く島の美に出会う」(11/30まで)を見ました。スマートな仏様方の涼しげな表情に心が洗われます。宗教美術でスリランカの歴史を通観する趣向。私にとっては知らないことばかりで新鮮でした。
上座部(テーラヴァーダ)仏教が今も息づく当地は、ともすれば2千年以上にわたり変わらぬ営みが永続してきたかと思いがちですが、実は紆余曲折があったという当たり前の事実――。今回の展示品には大乗仏教の経典もある、密教の宝具もある、ヒンドゥー神像もある。それと展示品からはうかがえませんが、植民地支配されていた時期も短くない。
つまりスリランカという島は、“いろいろあった”けど今、上座部仏教を信奉しているわけです。改めてそう再認識した上で、“いろいろあった”けど今、仏教そのものが滅んでしまったインドを思い、“いろいろあった”けど今、お葬式を中心に据えている日本を思った次第。


ここで、日本の仏像の説明ではあまり出てこない用語を、図録の解説から引き写しておきます。

  • 「ヴィタルカ印」 第1指と第2指を合わせる形の印相。論議することの意。
  • 「カタカ印」 五指を軽く握る形の印相。
  • 「シラスパタ」 如来像の頭上に付された火焔状の突起物。
  • 「勇猛坐」 ゆうみょうざ。右足を左足に載せた坐り方。結跏趺坐とは異なる。
  • 「ラージャリーラーサナ」 片膝を立てて坐り、王のくつろぎの姿勢を表す。
  • 「ラリターサナ」 片足を踏み下げて坐る。安楽坐。



会場の説明文では、聞きなれない地名や時代名のカタカナにとまどうかもしれませんが、そこがふんばりどころ。なお、おそらく、というか絶対、10月7日から並行して「大琳派展」が始まると大混雑します。それ以前にゆったり観るのが賢明でしょう。