仏報ウォッチリスト

ここは仏教の最新情報、略して《仏報》の材料をとりあえず放りこんでおく倉庫です。

 紙で語る展を見た

大倉集古館で展覧会「紙で語る Paper Materrials」(10/12まで)を見ました。館蔵品と特種製紙株式会社寄託品から、古写経や絵図など、紙に記された優品を展示。つい経文を読もうとかしてしまうのですが、当展の趣旨からすれば紙そのものを見なければいけないわけですね。染みとか虫食い跡とか。
なにしろ奈良時代からの文書が今なお原型のまま残っているというのですから、紙ってのは驚異の発明です。
古い経典類の出処として名が挙がるお寺は、東大寺薬師寺興福寺石山寺高台寺など。学問が盛んだった何よりの証拠でしょう。


出陳品で目を奪われたものをいくつかメモします。

  • 「布袋各様図巻」 松花堂昭乗筆、江戸時代、大倉集古館蔵。
     軽やかで素敵。
  • 「古活字本 徒然草」 江戸時代、特種製紙株式会社蔵。
     〈木版印刷に代わり、江戸初期の約半世紀間に刷られた活字本は古活字本と呼ばれて貴重視され、後の近世活字本とは区別される〉(会場キャプションより)。
     これ活字なんですか、流暢に連綿してますが。
  • 「乗興舟」 伊藤若冲筆、江戸時代、大倉集古館蔵。
     〈ここに展開するモノクロームの世界は伊藤若冲と京都相国寺の禅僧大典という二人の趣味人の交情によって生れた。明和4年春、共に淀川を舟で下った際の情景を若冲が「拓版画」と称される独特の技法で表し、大典が讃をつけている〉(同上)。
     印刷でいうと墨1色のベタ・70%アミフセ・30%アミフセ・白抜きの4種を駆使して描く。どうやると版画で濃淡が出せるのか謎。横長の画面は巻物仕立てで、公開部分からまだ先に続くらしい。作品全体を見てみたいです。