仏報ウォッチリスト

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 やまと絵の譜を見た

出光美術館で「日本の美・発見II やまと絵の譜」を見ました(7/20まで)。
やまとは日本/大和/倭で、中国の唐絵に対するのがやまと絵。定義は漠然としていて、広範囲に適用する名みたいです。同館の前回展が水墨画で、それが旅中のエキゾチックな一コマだとすれば、本展の作品は日常スナップと言えましょうか。ありふれた光景を切り取っただけでいかに人目を引きつけるかというのが見どころ。
作品総数36点で、うち宗教関係は次の通り。

  • 「扇面法華経冊子断簡」(平安時代)背景に経文と関係ない若い女房と童子が描かれる
  • 「絵因果経」(奈良時代)これをやまと絵の原形と本展では位置づける
  • 長谷寺縁起絵巻」(南北朝時代)十一面観音を安置する徳道の事績
  • 「神於寺縁起絵巻断簡」(鎌倉時代)道昭が講じる法華経を虎とともに聴く役行者の図
  • 「北野天神縁起絵巻」(室町時代
  • 「融通念仏縁起絵巻断簡」(鎌倉時代)

そのほか、見ていて飛び切り楽しいのが「江戸名所図屏風」(江戸時代)。八曲一双の大画面に無数の人物が生きいきと描かれています。歌舞伎や浄瑠璃の賑わい、両替町(銀座)や吉原の群衆。名所として描かれる寺社は、寛永寺浅草寺湯島天神・知楽院・神田明神誓願寺・日吉山王社・愛宕社・増上寺。これが日常の光景だということは、江戸人にとっての寺社は本当に身近なものだったのだろうとうらやましくなります。