仏報ウォッチリスト

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 皇室の名宝1を見た

先日、東京国立博物館で「皇室の名宝 日本美の華」展を見ました。天皇陛下御在位20年を記念した皇室コレクションの特別展で、会期が前半と後半に分かれ、いま開催中の1期(11/3まで)は絵画、2期(11/12から)が考古遺物・古筆・絵巻。セット当日券の販売もあり。
仏教的には断然、法隆寺献納宝物と正倉院宝物がお出ましになる2期に期待。とはいえ、この1期の作品もためいきの連続です。
目玉は伊藤若冲動植綵絵」。30幅が大きな一室にずらり。これはもともと相国寺に納められた仏画で、釈迦三尊像を取り囲む一切衆生ですから、ちょうど阿修羅展で釈迦如来の眷属である八部衆十大弟子がお並びになっていた展示の変奏と言えなくもないです。もっともっと顔を近づけて見たくなる細密画。ガラスから実物まで約1メートルの隔たりさえもどかしく感じます。
この部屋だけですでに放心状態ですが、気を取り直して先へ。岩佐又兵衛小栗判官絵巻」のこまやかな描写、そして下村観山「光明皇后」の合掌した手を画面中央に据えた構図が印象的。平福百穂「玉柏」の清新な情趣にも心打たれました。
総じておとなしめな作品が多いものの、さすが皇室のお眼鏡にかなった作品は最高水準のものばかり。この1期も若冲とその他で前後半に分けてほしいくらいです。