仏報ウォッチリスト

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 鎌倉の日蓮聖人を見た

神奈川県立博物館で特別展「鎌倉の日蓮聖人 中世人の信仰世界」(11/23まで)を見ました。
京都でも日蓮聖人の展覧会が開催中で、あちらは資料を見る限り法華信仰者から生まれた文化芸術まで取り入れて華やか。一方、この関東のほうは、祖師につながる法統だけにしぼって硬派な構成。
説明書きに〈阿弥陀に対する信仰が支配的であった当時、法華経に救いを求めた人々がいた〉。なるほどそう言われてみるとそうですね。
法華信仰と言えば何より『法華経』、そして「曼荼羅本尊」「一塔両尊」と、現物の展示と説明が続きます。彫像と掛軸で見せる「三十番神」が興味深い。後半には妙見菩薩や摩利支天、鬼子母神まで。勉強になります。
もう一つ詳しいのが関東出身の弟子筋の紹介。法名にみな「日」が付くので、弟子のそのまた弟子になってくると混乱してきます。そんななか一人気を吐くのは「なべかむり日親」でしょうか。
目を奪われたのは、日蓮聖人の直筆。とくに私信は、粘っこい『立正安国論』(展示は複製)とも、いわゆる「髯題目」とも違う、圧倒的な勢いがあります。
日蓮の書状が単なる手紙ではなく信仰を説く手段として意識されていた〉
日蓮の直筆はその所持が教えを受け継ぐ正統性を示すものとされた。さらに祖師信仰の中では、霊力がこもる第一の霊宝として功績があった僧侶や信徒に分け与えられる場合もあった〉
そこで直筆は3、4行に分断され、茶室の掛け物みたいに軸装されていたりします。
そういえば、展示を見ながらメモをしていると、髯文字みたいな払いがいつの間にか移ってしまっているのが我ながらおかしいです。