仏報ウォッチリスト

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 胸中の山水展を見た

根津美術館で特別展「胸中の山水・魂の書」を見ました。昨秋からの「新創記念」企画全8回の第4部で、館蔵の山水画24点と墨蹟13点。
山水画の室内はメイン作品である牧谿「漁村夕照図」のしっとり感が充満しています。展名の《胸中の山水》とは、画家の心に再構成された風景というほどの意味だそうです。いずれもさほど大きくない画面なのに、スッと絵の中に引き込まれてしまう不思議。
墨蹟はわりとおとなしめ。作者には日中の禅僧がいます。資料に基づいてさらに区分すれば、(1)中国人僧(2)来日経験のある中国人僧(3)日本人僧(4)留学経験のある日本人僧、となります。書を見るだけでこれが分類できるものかしばらく考えてみたのですが、シロウト目で判別するのは無理でした。
チラシやウェブの案内文に《新しい照明設備で墨の微妙な表現がケース内でも再現できるようになりました》とあります。LED照明の普及によって展示環境はおそらく劇的に向上しているのでしょう。最新技術に感謝したい思いです。
次回の特別展が恒例「燕子花図屏風」。琳派のきらびやかな展示を控えての、今回のこの白黒の世界、なんとも渋い企画です。
なお、2階で併催されているコレクション展「香合百選」も愛らしくて見ごたえがありました。