仏報ウォッチリスト

ここは仏教の最新情報、略して《仏報》の材料をとりあえず放りこんでおく倉庫です。

 「親鸞展」を見た

日本橋三越で「親鸞展」を見ました。
そのシンプルなタイトルそのままに、人間親鸞の生い立ちを順に紹介する構成。まるで近代の文豪か往年の大物歌手の記念館でも見学している感じです。
とにかく顔、顔、顔のオンパレード。有名な「熊皮御影」あたりに固定化していた私の中の親鸞聖人のイメージを、地方寺院所蔵の絵図や現代絵師の挿画が格段に広げてくれました。個人的に目に焼き付いたのが、角刈りっぽい「有髪の御影」。これからのアイコンはこういう若々しいお姿にイメチェンしてはいかがでしょうか。
本展がエラいのは、特定の真宗派閥(○○派)がしゃしゃりでてこないこと。複製とはいえ、教行信証(東)、恵信尼文書(西)、三帖和讃(高田)が一堂に会しているのは壮観。
ゆかりの品々が紹介される中で、「流罪表札」は衝撃的でした。長さ30センチくらいの板きれに〈流人 藤井善信〉と墨書してあって、上部に穴があいています。これはどう使われたものなのか。居場所に釘で打ち付けられたか、紐を通して首から下げたか、いずれにしても生々しい遺物です。
ささいなことですが、「二十四輩牒」(南北朝時代)と「有髪の御影」(室町時代)に書かれる手書きの鸞の字。糸言糸とならぶ部分の言の上部が極端に大きく、糸の下部は省略されており、つまりナベブタの下に樂の上半分を書いたようになっています。この時代の異体字でしょうか。そういえば、大谷派門主が揮毫したという筑摩書房『シリーズ親鸞』の表題もナベブタ強調ですね。
東京5/10まで。引き続き全国巡回。 http://www.shinranten.jp/