仏報ウォッチリスト

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 若冲展を見た

千葉市美術館で「伊藤若冲 アナザーワールド」を見ました。
有名な「動植綵絵」とは一味違う水墨画を一挙紹介。通常の作風という意味で、実はこっちが本領といえましょうか。でも何をもって通常といえばよいのか、題材に、技巧に、構図に、作品5点で1回くらいの頻度で仰天。どうやって驚かそうかと常に考えている人のような気もしてきます。
会場が上階と下階に分かれ、第1会場で目玉のMIHO MUSEUM所蔵「象と鯨図屏風」と静岡県立美術館蔵「樹花鳥獣図屏風」とが立て続けに現れて、残りの会場は見る必要があるかとさえ思いましたが、行ってみたらありましたよ。とくに仏教関連。
大阪・西福寺蔵「蓮池図」は抑制の利いた描写。六幅のうち中の二幅なんて画面下側十分の一に蓮の葉を描く以外はみな余白。その右幅に盛りの蓮華、左幅に枯れた茎。ううむ、深い。
動物とくに鶏の動きを捉えた一連の水墨はとにかく圧巻。どれも似たように見えて、よく見ると背中に雛三羽を乗せた親鳥がいたりするのがニクい。
人物画というのはイメージになかったのですが、会場には禅僧の頂相が1点。図録には売茶翁や釈尊も。俯瞰の「五百羅漢図」は小さめな画面に執拗に人数を詰め込んでいて目を奪われます。そうそう、「寒山図」の笑顔が良かったですねえ。
若冲という画家の全体像を押さえるためにとても大事な企画です。私なんぞが言うまでもなく。