仏報ウォッチリスト

ここは仏教の最新情報、略して《仏報》の材料をとりあえず放りこんでおく倉庫です。

 「蟻通」を見た

先日、国立能楽堂お能「蟻通(ありどおし)」を見ました。突然に倒れて動けなくなった馬。どうやら蟻通明神の社前であることに気づかず礼を失して通り過ぎようとしたためらしい。馬に乗っていたのは紀貫之。得意の和歌を奉納し、ようやく難を逃れる。歌の徳に、神社の縁起とを重ね合わせた話。
という説明そのままの展開。ひねりもない。世阿弥作だそうですが。
紀貫之の歌は「雨雲の立ち重なれる夜半なればありとほしとも思ふべきかは」。「有りと星」つまり雲に遮られて星が有ると思えないというのが蟻通と掛詞。
仏教的な詞章としては、祝詞につづく「和光同塵は結縁の始め、八相成道は利物の終り」。『摩訶止観』の一節のアレンジだそう。ちなみに「祝詞」はノットと発声されます。