仏報ウォッチリスト

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 「天地二大字」を見た

根津美術館で特別展「コレクションを未来へ」を見ました。昨秋から開かれている新創記念企画の掉尾です。
メインは円山応挙の「藤花図屏風」。金箔の上に即興的な墨書きの幹と色絵具で写実的な花、この色合いの妙は現物を見てこそ。印刷物では絶対わかりません。
展示はいずれも優品揃いですが、そのうち仏教美術だけたどりますと、古写経が3点。奈良時代「根本百一羯磨」と「二月堂焼経」、平安時代無量義経・観普賢経」。時代の違いでしょうか、唐風と和風、その印象の対比が目を引きます。続いて羅漢図などのお軸が数点。細密画のような「観音図」の上部に約5センチ角の黒い点々があり、そこに観音経が書いてあるらしいのですが、あまりに小さすぎて肉眼では読めず。雪舟の弟子だという宗淵「芦葉達磨図」の描線が何とも大らかでいいです。
途中省略して、最後に良寛上人が「天地」と大書した掛軸2点。大きさの違いで通称「大天地」と「小天地」。これ以外に何も必要としない充足した構図。しばし見とれて筆の運びを目で追いました。両作品は余白の取り方も違うし、地の字の最終画に入る前の筆の回転が反対なのです。なのに不思議と同じ安定感。うーむ。
明日までの会期なので焦って移動途中に飛び込みました。間に合って満足。