仏報ウォッチリスト

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 天狗推参!を見た

神奈川県立歴史博物館で特別展「天狗推参!」を見ました。
天狗はすでに日本書紀から現れるものの、その出自はよくわからないといいます。仏典には登場せず、中国では流星なのだとか。
元々は怖い存在。とくに仏教の敵と恐れられ、東大寺二月堂には天狗が仏事を邪魔するのを阻止する行法があるそうです。やがて天狗は仏教の守護神に加えられます。天狗界の親分・是害坊は良源に降参しました。恐るべき存在を仲間に引き入れることで、仏教の優位を際立たせるわけですね。しだいに天狗は積極的な信仰対象になってゆきます。
天狗のイメージをたどると、鼻高天狗と烏天狗の二種に整理されます。仏教キャラで言うと烏天狗迦楼羅、鼻高天狗は役行者あたりでしょうか。さらに押し広げれば毘沙門天荼枳尼天、晨狐王、飯縄権現へとつながってゆきます。お寺で言えば、鞍馬寺高尾山薬王院など。展示の最終章では茨城・大杉神社のあんばさまを特集。
赤顔に長鼻という漠然とした天狗の姿を打ち砕き、さまざまな広がりを提示する趣向。よくぞこれだけ集めたなあという感じです。それでも展示では安易に結論めいたことを言いません。それが潔くてよろしい。やはり「さては天狗のしわざか……」みたいな謎めいた存在でいてほしいですからね。