仏報ウォッチリスト

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 「達陀」を見た

日生劇場十二月大歌舞伎「達陀(だったん)」を見ました。
東大寺修二会に現れた青衣の女人(しょうえのにょにん)にまつわる舞踊劇。この女性は練行衆のリーダー格である集慶(じゅうけい)の出家前の恋人だったといいます。法会の最中に去来する煩悩、その誘惑に打ち克って修行に戻ってゆく集慶。
お松明の炎は出家者の行く道を照らす灯りである一方、燃え盛る男女の情欲を思わせもする、この二重性を興味深く感じました。
昭和42年初演の作品で、照明や音声の使い方は現代的。それでも主演の松緑が古風な趣で、ぐっとこらえて煩悩を断ち切る修行僧という役柄にピッタリはまっています。
前回見た時(集慶は菊五郎)には、全体的にもっとストイックでおどろおどろしい雰囲気の作品に思えましたが、今回は男女が踊る艶かしさやフィナーレの賑やかさもよく伝わってきました。


なお蛇足ながら、今回は当日売りの幕見席でこの演目だけ見たのですけど、なぜかチケット購入時に氏名を記帳させられ、そのうえ「幕見席」と刷られたプレートを渡されて首から下げているよう指示されました。その意図がまったくもって不明です。