仏報ウォッチリスト

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 「墨宝」を見た

根津美術館で特別展「墨宝 常盤山文庫名品展」を見ました。
実業家・菅原通済が蒐集した常盤山文庫所蔵の書画の優品に、根津美術館の所蔵品を加えた50点を展示。メインは中世の中国と日本の禅僧による墨跡と仏画
書は無準師範、蘭渓道隆、無学祖元、虎関師錬、中峰明本と禅宗史をたどるようなラインナップ。お写経のような端正さとは対極にある大胆な筆遣いが見どころ。絵画の題材は寒山拾得や観音など。書・画ともに茶室に掛けるようなサイズの軸装。床の間を模したような工夫が随所にあるのも面白いです。
国宝が2点。清拙正澄「遺偈」は、臨終後に号泣している弟子のため自らお棺を出てきて書いたという逸話があるのだとか。縦画の筆勢の力強さに目を奪われます。国宝のもう一つは馮子振「易元吉画巻跋」。中国の文人の優雅な字。掛軸にしては幅広なのですが、これは切り刻むなと千利休が釘を刺した書面が残っていて、その添状も同時展示。
表装の裂地のセンスなども含めて眼福。なお、同展がモノクロ作品を中心としているだけに、その後に覗いた別室の併設展「鍋島と四季の草花」が何とも鮮烈でした。