仏報ウォッチリスト

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 「仏教伝来の道」展

東京国立博物館で特別展「仏教伝来の道 平山郁夫文化財保護」を見ました。故平山郁夫氏が描いた日本画とアジア仏教遺跡から流出した文化財のコラボ展示。両者がうまく溶け合っていて、これは好企画です。
たとえば仏教伝来をたどるといっても、インド、バーミヤン敦煌西安そしてアンコールワットというふうに文物を並べたところで、ただ地域性の違いを示すだけになってしまいます。そこへ平山作品という横串を刺すことで、すべての展示品が仏教という大枠で貫かれて捉えられるようになります。
要所に配される平山郁夫氏の作品、おとなしい画風とこれまで受けとめていましたが、文化財に囲まれると俄然、力強く迫ってきます。平山氏の遺産保護にかける熱意が、けっして声高にではなく、じわりと伝わってきました。ただ、各章が同じようなボリュームで構成されているせいか、それぞれの地域固有の事情が薄れがちなのが残念に思います。
仏伝図などの石造彫刻はこまやかな照明が立体感を際立たせて見せてくれます。照明といえば薬師寺蔵「大唐西域壁画」全7面も圧巻の美しさを浮かび上がらせています。
平山氏は熱かったのです。作品も。行動も。