仏報ウォッチリスト

ここは仏教の最新情報、略して《仏報》の材料をとりあえず放りこんでおく倉庫です。

 「頼政」を見た

国立能楽堂お能頼政」を見ました。平家に謀反の兵を挙げた源頼政は宇治に追い込まれ、平等院の扇の芝で自害します。それが無念で幽霊となって出てくる前半、本人が死に至るまでを語るのが後半。
三修羅といわれる演目の一つ。功成らず死にゆく老武者の悔しさを見せながらも、〈埋れ木の花咲く事もなかりしに身のなる果ては哀れなりけり〉と歌い残して消えてゆきます。
その魂を鎮めたのは仏の力。
〈御心安く思し召せ、五十展転(てんでん)の功力(くりき)だに、成仏まさに疑ひなし、ましてやこれは直道に/弔ひなせる法(のり)の力/逢ひに逢ひたり所の名も/平等院の庭の面/思ひ出でたり/仏在世に/仏の説きし法の場(にわ)、法の説きし法の場、ここぞ平等大恵の、功力に頼政が、仏果を得んぞありがたき〉
登場するのはシテ頼政とワキ僧、途中にアイの里人、それだけ。おまけに今回は蝋燭の灯りだけでの上演で照明も最少限。ほの暗い舞台に執心だけが漂っていました。