仏報ウォッチリスト

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 「像内納入品の世界」

神奈川県立金沢文庫で特別展「仏像からのメッセージ 像内納入品の世界」を見ました。木彫像の体内に納入されてきた宝物を取り出して展示。20例ほどのうち仏像自体も6体出品されていますがこれらはあくまで参考陳列で、メインは納入品そのものという珍しい企画です。
納入品は大きく分けて2種類。その像に魂を吹き込むための品々と、その像と結縁を望む信者が納めた品々。前者の例は仏舎利、疑似五臓六腑、ミニチュア像や印仏・摺仏、そして経典類。後者は信者の名簿や願文、ゆかりの手紙など。
舎利容器などは非常に精巧に造られ、文書類には片面に仏像をスタンプし片面に名簿を記載するような手の込んだものもあります。どうせ見えないのに、なんて野暮なことを考えない純粋な信仰心が伝わってきます。
納入するのは木彫像の内刳り部分で、それもただ内側をえぐったというだけでなく、納入品を守るために仏像のカバーをつけたといってよいものまであります。文化庁所蔵の阿弥陀如来立像は外側をはずすと蓮華のつぼみをかたどった紡錘形の容器が縦に4つ並び、その中に納入品があるという驚きの構造です。
貴重な仏像だからこそ、建物に火がつけば真っ先に運び出されて難を逃れ、八百年近くも経ってこうして日の目を見ている、しかし実はきっとこれらの納入品自身が内側から威光を放つことで仏像本体を守ってきた、そう思わずにはいられない展覧会でした。