仏報ウォッチリスト

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 「仏像半島」

千葉市美術館で「仏像半島 房総の美しき仏たち」(4/16-6/16)を見ました。千葉県内の仏像100余体がお出ましの展覧会。建物の構造から上下階にまたがり、複数の部屋に分かれてはいるものの、仕切りやケースを極力減らして、文字通り仏さまが一堂に会しています。照明が作為のない明るさで、開放的な居心地よい空間です。
御像は素材も技法もさまざま。バラエティに富むと言ってしまえばそれまでですが、一地域の作品だからといって、すべてが共通の特徴を備えているわけではないという当たり前の事実をかみしめます。何々時代だから、どこどこ地方だから、と生半可な知識で即断するのはくれぐれも気をつけないと。現地オリジナルもあれば、都から運んだものもあり、流行のスタイルを真似たり、わざと古様を模したものも。
失礼ながら各所蔵者のお寺をまったく存じ上げないため、かえって仏像を虚心で拝見できます。大きくても小さくても、古くても新しくても、先入観なくじっくりと鑑賞。歴史の表舞台として派手に栄えた土地柄ではなかったおかげで、現在までこうして優品が残ったとも考えられます。テーマ別では、当地に作例が多く残るという七仏薬師の隙のない布陣がとりわけ印象的でした。
今回こうして脚光を浴びて注目されることが、仏教への関心という点でも、文化財保護の面でも、プラスに作用してくれればいいなと心から思います。