仏報ウォッチリスト

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 麗しきチベットの仏たち

福井市立郷土歴史博物館で特別展「麗しきチベットの仏たち」を見ました。
チベット仏教の色鮮やかな仏画曼荼羅、タンカ、ツォクシン)を中心に40点あまり。まず基礎解説があって、作品ごとにワンポイントメモが付く親切な展示。とかく神秘的だのエキゾチックだのといった一言でけむに巻かれてしまいがちな分野を、私たちにも理解できるものとして紹介してくれます。
たとえば曼荼羅。決められた配置を図解し、日本の真言宗曼荼羅や砂曼荼羅ペーパークラフトの立体模型などと共に多角的に見せることで、修行者らがどういう世界を見ているのかを追体験させてくれます。
チベット仏教には日本と同じ大乗仏教の基礎があります。我々にもなじみ深い薬師如来や十一面観音の仏画を拝した後では、同じ手法で描かれた後期密教のおどろおどろしい多面多臂像も何だか親しい存在に思えてきます。
展示品の多くは地元のコレクターが同館に寄託した作品だそうで、福井とチベットが特別な接点をもつわけではありません。それだけに真っさらな状態から誰もが興味を持てるよう工夫し、ネパールと交流がある富山県南砺市「瞑想の郷」の協力を得て、知られざるチベット仏教の魅力に溢れた空間が実現しました。私も知ってるつもりでいたこと、どうせ分からないと思っていたことなどに、改めて目を開かされました。