仏報ウォッチリスト

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 常盤山文庫の墨蹟

鎌倉国宝館で「常盤山文庫70周年記念名品展 特集 墨蹟」を見ました。
実業家・故菅原通濟のコレクションである常盤山文庫は同館で定期的に公開されており、根津美術館で展示されたのも拝見したことがあります。今回は禅僧の筆墨を十数点、ほかに水墨画と陶器・漆器。特筆すべきは、A4判二つ折りの無料配布チラシの中面に、全作品と解説がすべて記載されていること。小さなモノクロ写真ながらこれはありがたい。
禅僧の書はいずれも個性的。書かれた目的が様々なのも興味をかきたてます。人に見せるための書(たとえば「巡堂」という看板)から、飾らない普段の書(私信の宗峰妙超消息など)、まったく無意識の書(清拙正澄遺偈)まで、それぞれ全然違うシチュエーションで筆が運ばれているのに、どこか一貫した禅味を感じさせます。
中で一点というと、中峰明本墨蹟の筆法。ボテッと筆を置かないスムーズな入筆が印象的で、笹葉中峰と呼ばれているそうです。
中国人か日本人かという違いも面白いと思います。来日僧の中に日本人も数点。クレジットを見て、やっぱり本場中国とか、ちょっと和様?みたいに感じる楽しみもありました。