仏報ウォッチリスト

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 「書と絵画の対話」

出光美術館で「文字の力・書のチカラII 書と絵画の対話」を見ました。
書の文面を読むのではなく、文字の造形を楽しみ、書の表現の多彩さを知る企画。ちらし書きの美や一行書の妙などを、理屈ではなく視覚的に教えてくれます。章立てに使われている「戯墨」「酔墨」という造語がまさにピッタリ。
伝統書と昭和作品を並べて類似を示す企画者の意図に思わず膝を打ちます。巻子本古今集切と安東聖空「不二」、仙がい「〇△口」と手島右卿「吟月」、良寛「詩書屏風」と川村驥山「飲中八仙歌屏風」、慈雲「達磨図」と森田子龍「忍」など。
仙がいコーナーの作品「〇△口」「般若心経」「一円相画賛(これくふて茶のめ)」については、会場では関連がわかりにくいのですが、図録を読んで腑に落ちました。〈これくふ〉は是空と置き換えられる、是空といえば般若心経、〈これ〉とは円相のこと、仏教哲学者・鈴木大拙は「〇△口」に感化されて「△口不異〇」という書を残している(パネル展示)。つまり仙がい「〇△口」は色/空という仏教的・禅的な世界観を表現していると謎解きをしています。これは説得力があって面白いと思いました。

(※日付をさかのぼって書き込みをしています。鑑賞日と記入日とは必ずしも一致しません)