台東区立書道博物館で企画展「中村不折コレクション 江戸ワールド」を見ました。3つに分かれた会期のうち、良寛上人の作品が出る第3期に合わせて訪問。
副題に「池大雅、良寛、小林一茶、伊藤若冲、渡辺崋山 etc.」とあるように、法帖など書のお手本が並ぶいつもの展示とは違い、絵画が多くて親しみやすいのが特徴。
良寛作品は4点。五十音を書いた書巻、仁と大書した掛軸、七言絶句軸は釈文がありませんがおそらく「十字街頭乞食了…」と「今日乞食逢驟雨…」。特徴ある優品のチョイス。
頼山陽の蘭亭序臨書や荻生徂徠の詩巻なども興味深く、池大雅の五言二句軸は圧巻の迫力。
夏休み企画だからか、説明パネルは筆者の紹介と並んで、見方のヒントが添えてあります。不折の描く似顔絵を用いて同時代人が作品を紹介する(まれに本人も)という趣向で、これは子供のみならず万人に親切です。まずツカミで笑わせたあと、書の核心を突くワンポイント解説。なるほどと頷いた言葉をメモしておきます。順不同。
- 一流の書を書く人は細い線を強く書くことができる
- 筆のバネをうまくつかっている
- 筆の毛先を出さずに書くとより頑丈に見える
- 余白をあけて字を小さめに書いてあり、早めの筆づかいの字も落ち着いて見える
- 筆の先をすべらせる、あるいは少しこすりつけることでカスリの表情は変わる
- 横はばのある紙を用いて、行を揺らし字の大小の変化をつけながら書いている
- 墨の潤濁によって紙面に立体感が感じられる
- 線がきれいだと余白の白さもきれいに見える
- ハライやハネで筆先を整えることができるとリズムよく書ける