仏報ウォッチリスト

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 歌舞伎「すし屋」

歌舞伎座・夜の部を見ました。通し狂言義経千本桜の後半、「木の実」「小金吾討死」「すし屋」「川連法眼館」。なんといっても孝太郎のお里にしびれました。
「すし屋」は全編にわたって《勘違い》の悲劇なのだと改めて思いました。権太がすし桶を取り違えるというのが物語のポイントですが、お里が高貴な男に惚れてしまうのも勘違い、母親が息子の権太に騙されるのも、首実検をごまかせてしのいだと思うのも、維盛妻子の替え玉も、権太の改心を父親が見抜けないのも、みんな勘違い。すでに前段の「木の実」からして、荷物をわざと取り違えたり、権太の親切を信じて裏切られたりしています。些細な行き違い・勘違い・思い違いがとんでもない結末を導く恐ろしいお話。そんななかで、お里の明るさだけが異彩を放っており、それが悲劇をより強調します。
つづく四ノ切「河連法眼館」はまるで別世界で、なかなか頭が切り替わりません。こういう通しのプログラムでいいのかなと思っているうちに終了。いつもながら。
http://www.kabuki-bito.jp/theaters/kabukiza/2013/10/post_67.html