仏報ウォッチリスト

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 仙がいと禅の世界

出光美術館で、「仙がいと禅の世界」を見ました。江戸後期の禅僧・仙がいさんの書画を集めた出光コレクションから、今回は禅に関する作品を展示(がいは崖の山のない漢字)。
達磨・慧能・馬租・臨済・徳山・栄西ら祖師方の肖像、会ったことないはずなのに、それらしい。禅語録のエピソードを絵にして賛を付す。南泉斬猫・狗子仏性・直指人心などは、賛が辛辣とのこと。
宗派を超えたモチーフで、禅の話が南無阿弥陀仏になったり、三聖吸酸で神儒仏を表したり。
一行書の迫力。おなじみ布袋や蛙の禅的な解釈。涅槃図など老境の諧謔。……
いつもながら充実の解説が付けられていますが、今回は禅の講釈に重きを置くあまり、仙がい本人の筆遣いを見ることが二の次になりがちです。もともと不立文字で言葉を超えたところに覚りの境地があるはずなのに、つい言葉で満足してしまう。そんな戒めも感じます。
特集展示として「一休ゆかりの床菜菴コレクション」を併設。仙がいと並ぶと、どうも一休さんの書は作為的に見えます。
禅の世界のやさしい絵解きを見るにつけ、仙がい作品の多くが庶民の求めたものであったことを実感しました。