仏報ウォッチリスト

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 「玉体安穏の祈り」

神奈川県立金沢文庫で、特別展「中世密教と〈玉体安穏〉の祈り」を見ました。
玉体(天皇の御身体)の守護、イコール鎮護国家のために執り行われてきた密教儀礼について、古文書や仏像・仏画で紹介。秘密の儀式を覗き見るかのような緊張が走ります。
とくに印象に残ったのは、
密教儀礼の多彩さ。後七日御修法(正月)、仁寿殿観音供(十八日)、晦御念誦(月末)、太元法(外敵調伏を目的に随時)などのほか、宮中の二間(ふたま)と呼ばれる空間では夜間に夜居作法が行われていたそうで、つまり毎日のように何かしら祈祷があったらしいです。
密教修法と室生寺との結びつき。室生山(=ウ一山)の宝珠を思い浮かべることが重視されたとのことで、そう知ると室生寺のイメージが大きく変わってきます。石清水八幡宮での儀礼の資料もあり。後醍醐天皇との関連では遊行寺の宝物も。
称名寺聖教の充実ぶり。密教儀礼の歴史をたどる一次資料が満載。修法の配置図や口決、秘記など。図像では横浜市・龍華寺から多数出品。
とにかく、こうして紹介されなければ僧侶以外は知り得なかった営みを教えてくれる貴重な企画です。展示室を出たところに今年行われた後七日御修法を伝える資料が置いてあり、改めて歴史の重みを感じます。