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仏報ウォッチリスト

ここは仏教の最新情報、略して《仏報》の材料をとりあえず放りこんでおく倉庫です。

 「賀茂」「玉鬘」

お能「賀茂」を見ました。賀茂社祭神を寿ぐ内容。舞いが三態、間狂言の三段ノ舞と、後ツレの天女ノ舞と、後シテの舞働。とくに天女がしっとりとしてよい。前半に水を汲む女が出て、クライマックスに別雷神が登場。水は農業に取って大切。
「法界無縁の衆生をだに、一子と思しみそなはす」「感応あれば影向微妙の相好荘厳まのあたりに」「山河草木動揺して」「和光同塵、結縁の姿」
能と狂言を一番ずつのプログラムが主流では、こうした神を祝福する(だけの)作品は上演されにくくなる、と某解説書にありました。なるほど。


続いてお能「玉鬘」を鑑賞しました。源氏物語の悲劇のヒロイン玉鬘が過去の罪障を懺悔する。フィクションの中のエピソードをリアルに見せる。川を舟で下ってくる不安定さよ。
「恨みは人をも世をも、思ひ思はじただ身ひとつの、報いの罪や数々の、浮名に立ちしも懺悔の有様」
旅の僧の弔いにより玉鬘は成仏する。とくに大きな起伏のない展開ながら佳品。
ちなみに本作は、岡野守也著『能と唯識』の最終章に取り上げられています。「懺悔に寄って妄執つまりマナ識・アーラヤ識に潜んでいた恨みや悲しみや執着がいったんありのままに感情的に表現される――事懺悔、次にそれが妄執であることが自覚される――理懺悔、その結果、根本的に翻される――転識、そして真如の玉―大円鏡智が現われ迷いの夢が覚める――得智」