仏報ウォッチリスト

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京博「仏法東漸」

京都国立博物館で特別展観「第100回大蔵会記念 仏法東漸―仏教の典籍と美術─」を見ました。平常展の延長ぐらいに思っていたらとんでもない。見終えるまでに2時間半もかかりました。
一切経大蔵経と聞いて思いつく経典がすべてここに集められています。いやむしろ思いつかなかった経典の展示を目の当たりにしたことのほうが大事かもしれません。現存最古の可能性がある梵字の貝葉写本に始まり、中国と朝鮮の経典の堂々たる文字に圧倒されます。日本の経典は奈良時代聖武天皇光明皇后称徳天皇が発願した一切経平安時代法隆寺・松尾社・神護寺・七寺などの一切経。鎌倉・室町時代となって、色定法師が生涯をかけて書写した一切経足利尊氏発願の一切経、北野社一切経。このあたりから版本も現れ、宗存版・天海版・黄檗版などを紹介する流れの先に大正新脩大蔵経があります。
部屋を替えて日本の宗祖の紹介。最澄空海、禅と浄土教の祖師方を、その直筆と関連絵画を合わせて展示。越州録と弘法大師請来目録の二つの最澄直筆が見られたのはうれしい。禅では関山慧玄のように物は残さなかったが法は伝えたという人の紹介もあり、仏法東漸にも様々あることを教えられます。浄土教では早来迎という東漸の分かりやすい例と、選択本願念仏集のように大きく飛躍した伝授も。
さらに関連展示として、絵巻・仏画・頂相など。このあたりまで来ると集中が途切れ気味で流し見るしかないのですが、一貫したテーマのもとで展示される強みを感じます。
この場に身を置けた喜びに満たされる展覧会でした。