仏報ウォッチリスト

ここは仏教の最新情報、略して《仏報》の材料をとりあえず放りこんでおく倉庫です。

2016年7月の講演

東京近辺で7月に開かれる講演・講座をメモします。開催日順。詳細は各主催者または会場にお尋ねください。(7/1更新)




  • 第35回禅博セミナー
     日時:7/14 16:30
     会場:駒澤大学中央講堂
     講師:佐藤憲昭
     演題:お盆の世界
     主催:駒澤大学禅文化歴史博物館(詳細


  • 『摂大乗論』に学ぶ
     日時:7/14 19:00
     会場:青松寺観音聖堂
     講師:竹村牧男
     主催:青松寺




  • 第582回日曜講演会
     日時:7/17 10:00
     会場:武蔵野大学グリーンホール
     講師:稲見正浩
     演題:古代インドにおける「人間の目的」
     主催:武蔵野大学


  • 孝道山夏季仏教文化講演
     日時:7/17 13:30
     会場:孝道山本仏殿本堂
     講師:渡邊寳陽「法華経 潤いの雨は、等しく山野にふりそそぐ」
        高宮有介「死から生といのちを考える」
     主催:孝道山 詳細


  • 心を磨く正眼セミナーin東京
     日時:7/18 14:00
     会場:龍雲寺
     講師:横山紘一「余れる者は有り」
        山川宗玄「だるまさんから学ぶ新しい風」
     主催:東京禅センター






  • 寺子屋ワークショップ「お経を読む」
     日時:7/23 18:00
     会場:新宿・経王寺
     講師:互井観章
     演題:法華経その3
     主催:経王寺




  • 第8回 神儒仏合同講演会
     日時:7/30 13:00
     会場:神田明神祭務所ホール
     講師:宮田修・岡崎満義・渡邊寶陽
     演題:人生の実りの秋をすごそう
     主催:神田神社・斯文会・中村元東方研究所(詳細



花月・杜若・雲雀山

国立能楽堂で金春会定期能を見ました。演目はお能花月」「杜若」「雲雀山」。

花月(かげつ)」は、7歳の子が行方不明となるお話。憔悴して出家していた父親は、成長して清水寺で芸人となっていた息子を発見、聞くと天狗にさらわれて諸国を巡っていたといいます。感動的な再会の物語とともに、少年の芸を見せるのが眼目。小歌をうたい、弓を射るしぐさを見せ、曲舞を舞い、羯鼓を打つ。短い上演だが盛りだくさん。子と共に帰って行く父親は、「連れ参らせて、仏道の修行に、出づるぞ嬉しかりける」と述べていました。

「杜若(かきつばた)」は2007年7月以来2度目。杜若の精が成仏を遂げる。冒頭で僧に「草木心なしとは申せども……あら美しの杜若やな」と言わせておいて、結びで「花も悟りの心開けて……草木国土悉皆成仏の御法を得て」としめくくります。男女の恋を語る伊勢物語の主人公在原業平は、ここでは歌舞の菩薩とあがめられ、仏法の種とならぬものはないと思わせます。

「雲雀山(ひばりやま)」は初見でなおかつ謡曲が手元にありません。資料によると、右大臣豊成が讒言を信じて娘の中将姫を殺せと命じるも、乳母の侍従がかばって山中にかくまいます。姫でも父親でもなく、この乳母を中心に物語が進行するのが斬新。それにしても登場人物は多いのに、乳母が舞を見せる時間だけが長い。豊成が我に返って改心するにはそれだけの時間が必要だったのかもしれません。ところでこの物語は中将姫について何か「当麻」に通じる伏線はあるのでしょうか。どうもまったく別の作品と考えたほうがよさそうです。

2016年6月の講演

東京近辺で6月に開かれる講演・講座をメモします。開催日順。詳細は各主催者または会場にお尋ねください。(6/1更新)






  • 南無の会辻説法
     日時:6/8 19:00
     会場:常円寺
     講師:中島教之
     演題:(題未定)
     主催:南無の会



  • 『摂大乗論』に学ぶ
     日時:6/9 19:00
     会場:青松寺観音聖堂
     講師:竹村牧男
     主催:青松寺


  • 在家仏教講演会
     日時:6/11 10:00
     会場:渋谷区・清風クラブ2階研修室
     講師:黒川文子
     演題:仏教との新たな出会い
     主催:在家仏教協会



  • 東大寺東京講座
     日時:6/11 14:00
     会場:青松寺観音聖堂
     講師:森本公誠
     演題:聖武天皇の実像を追って(50)
     主催:東大寺




  • 仏教カルチャー・セミナー
     日時:6/18 13:30
     会場:中野サンプラザ研修室
     講師:佐々木正
     主催:日本仏教鑽仰会(03-3967-3288)


  • 青松護持会講座「仏教歳時記」
     日時:6/18 13:30
     会場:青松寺観音聖堂
     講師:金子真介
     主催:青松寺





  • 寺子屋ワークショップ「お経を読む」
     日時:6/18 18:00
     会場:新宿・経王寺
     講師:互井観章
     演題:法華経その2
     主催:経王寺


  • 第581回日曜講演会
     日時:6/19 10:00
     会場:武蔵野大学グリーンホール
     講師:塩入法道
     演題:ハスに託された思い 仏教と蓮華
     主催:武蔵野大学






  • 法話の会
     日時:6/23 14:00
     会場:東京グランドホテル4階芙蓉の間
     講師:福山諦法「管長のおことば」
     主催:曹洞宗宗務庁(詳細


  • 在家仏教講演会
     日時:6/25 10:00
     会場:渋谷区・清風クラブ2階研修室
     講師:山崎龍
     演題:慈悲を問う
     主催:在家仏教協会


  • 東大寺東京講座
     日時:6/25 14:00
     会場:青松寺観音聖堂
     講師:平岡昇修
     演題:江戸時代の大仏建立物語
     主催:東大寺



  • 第24回愛宕薬師フォーラム
     日時:6/27 14:00
     会場:別院真福寺地下講堂
     講師:羽田守快
     演題:密教と吉凶 密教における占いの世界
     主催:智山教化センター



2016年5月の講演

東京近辺で5月に開かれる講演・講座をメモします。開催日順。詳細は各主催者または会場にお尋ねください。(5/2更新)


  • 川崎大師仏教文化講座
     日時:5/1 14:00
     会場:川崎大師教学研究所講堂
     講師:小峰彌彦
     演題:知られざる空海の一面
     主催:川崎大師教学研究所


  • 宗援連第26回情報交換会
     日時:5/1 14:30
     会場:東京大学山上会館
     講師:金田伊代「京都での避難者支援活動」
        結柴依子「3.11からの出発」
        岩村義雄「キリスト教とボランティア道」
     主催:宗教者災害支援連絡会




  • 東大寺東京講座
     日時:5/7 14:00
     会場:青松寺観音聖堂
     講師:平岡昇修
     演題:サンスクリット原典と共に読む般若心経(5)
     主催:東大寺



  • 南無の会辻説法
     日時:5/11 19:00
     会場:常円寺
     講師:互井観章
     演題:(題未定)
     主催:南無の会


  • 『摂大乗論』に学ぶ
     日時:5/12 19:00
     会場:青松寺観音聖堂
     講師:竹村牧男
     主催:青松寺


  • 在家仏教講演会
     日時:5/14 10:00
     会場:渋谷区・清風クラブ2階研修室
     講師:横山紘一
     演題:「なりきる」ということについて Becoming one with
     主催:在家仏教協会


  • 東大寺東京講座
     日時:5/14 14:00
     会場:青松寺観音聖堂
     講師:森本公誠
     演題:聖武天皇の実像を追って(49)
     主催:東大寺




  • 第580回日曜講演会
     日時:5/15 10:00
     会場:武蔵野大学グリーンホール
     講師:深川宣暢
     演題:親鸞における救済の構造
     主催:武蔵野大学



  • 寺子屋ワークショップ「お経を読む」
     日時:5/21 18:00
     会場:新宿・経王寺
     講師:互井観章
     演題:法華経その2
     主催:経王寺


  • 仏教カルチャー・セミナー
     日時:5/21 13:30
     会場:中野サンプラザ研修室
     講師:佐々木正
     主催:日本仏教鑽仰会(03-3967-3288)


  • 青松護持会講座「仏教歳時記」
     日時:5/21 13:30
     会場:青松寺観音聖堂
     講師:金子真介
     主催:青松寺




  • いのちを見つめる集い
     日時:5/26 13:30
     会場:江東区・正覚院
     講師:鈴木晋怜
     演題:宗教と死 人は死んだらどこへ行くのか
     主催:仏教情報センター


  • BDKシンポジウム「ココロのゆくえ」
     日時:5/26 18:00
     会場:仏教伝道センタービル
     講師:横山紘一
     演題:仏教: 深層心からの健康
     主催:仏教伝道協会




「浮世絵ねこづくし」

そごう美術館で展覧会「あそぶ浮世絵 ねこづくし」を見ました。平木浮世絵財団の所蔵品から、猫が登場する浮世絵約140点。まったく通りすがりの時間つぶしで入ったのですが、徹底した猫しばりの企画は楽しめました。
役者絵でたぶん本人そっくりに似せてあり、加えて演じる役柄が一目で分かるように描かれていながら、しかも顔が猫って、超高度に計算された絵だと思います。
人物を戯画化して顔と手足が猫、なのに着物を着た姿が違和感ありません。温泉のシーンなど、着物を着た猫と裸の猫が同じ絵の中に難なく収まっているのが不思議です。猫柄の着物というのも大胆でした。
仏教がらみでは、国芳十六羅漢をもじった「十六利勘」というシリーズがあって朝寝者損者みたいなからかいの対象としています。「於竹大日如来」は犬猫と共に描かれることが多いとか。「西行法師」は源頼朝から賜った銀製の猫をそのへんの子供に与えてしまったシーンを描いています。
「八代目市川団十郎死絵(しにえ)」2枚のうち1枚目は地獄の使者に連れて行かれる役者にすがりつく贔屓筋たち。2枚目は涅槃図の構図を借り、中央の寝台に頭北面西で横たわる役者を取り囲んで泣き、手前には猫。涅槃図には動物たちが釈尊の死に寄り添ったことになっていますが、古来の様式では猫だけは描かないのがお約束になっています。理由はお釈迦さまの使いである鼠の天敵だからなど諸説あり。ところがこの死絵に猫だけが描かれるというのは、涅槃図の決まり事を知っていてわざとそうしているのでしょうか。
ちょっと離れて眺めても目立つ猫たち、決して脇役に収まってはいられない存在感に感服しました。

https://www.sogo-seibu.jp/common/museum/archives/16/nekodukushi/index.html

2016年4月の講演

東京近辺で4月に開かれる講演・講座をメモします。開催日順。詳細は各主催者または会場にお尋ねください。(4/3更新)


  • 川崎大師仏教文化講座
     日時:4/3 14:00
     会場:川崎大師教学研究所講堂
     講師:福田亮成
     演題:弘法大師の文章を読む
     主催:川崎大師教学研究所


  • 在家仏教講演会
     日時:4/9 10:00
     会場:渋谷区・清風クラブ2階研修室
     講師:大童法慧
     演題:「他ならぬ私」を支えているものを考察する
     主催:在家仏教協会


  • 東大寺東京講座
     日時:4/9 14:00
     会場:青松寺観音聖堂
     講師:平岡昇修
     演題:サンスクリット原典と共に読む般若心経(4)
     主催:東大寺


  • 真宗文化センター講演会
     日時:4/9 13:30
     会場:真宗文化センター事務所内FORUMS
     講師:今井雅晴
     演題:親鸞と兄弟子/親鸞善鸞
     主催:真宗文化センター


  • 南無の会辻説法
     日時:4/13 19:00
     会場:常円寺
     講師:本多靜芳
     演題:(題未定)
     主催:南無の会


  • 『摂大乗論』に学ぶ
     日時:4/14 19:00
     会場:青松寺観音聖堂
     講師:竹村牧男
     主催:青松寺



  • 仏教カルチャー・セミナー
     日時:4/16 13:30
     会場:中野サンプラザ研修室
     講師:阿満利麿
     主催:日本仏教鑽仰会(03-3967-3288)






  • 仏教聖典を生活に活かす会
     日時:4/28 13:30
     会場:仏教伝道センタービル7F
     講師:一島正真
     主催:仏教伝道協会


  • いのちを見つめる集い
     日時:4/28 13:30
     会場:江東区・正覚院
     講師:佐山哲郎
     演題:童謡唱歌に学ぶ
     主催:仏教情報センター


  • 東大寺東京講座
     日時:4/30 14:00
     会場:青松寺観音聖堂
     講師:北河原公敬
     演題:観音経を読む(17)
     主催:東大寺



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能「名取ノ老女」

1週間で2回目の国立能楽堂に行き、復曲能「名取ノ老女」を見ました。名所と伝説を盛り込んだ作品が震災復興の願いを込めてよみがえる。芸能とはこうやって生まれてゆくのかと感動しました。
名取の老いた巫女に熊野から山伏が神託を届ける。梛の葉に虫食い跡で書かれた熊野の神詠「道遠し年もやうやう老いにけり思ひおこせよ我も忘れじ」に老女は感激し、「熊野の本地」を語り、法楽の舞を見せる。
「熊野の本地」は室町期に流行した熊野権現の由来の物語り。〈……もとはこれ天竺摩迦陀国の主として、天下を収め給へば、海内ことに静かなり/然るに千人の后を揃ふれども/王子誕生なきなかに、末の后の御衰殿、めでたく懐妊おはします/九百九十九人の后たち深く妬み/武士かたらひ、深山にて首を刎ねさす/されどいかなる不思議にや、死骸はやぶれ朽ちもせず、たひらかに王子誕生す。御子は首なき母の乳をぶくし、虎狼を供として、すくやかに育ち、三つの歳、虫食いの詠に導かれ、叔父の上人見いだして、麓の寺にて養育す……〉
復活上演の過程も興味深く思いました。パンフレットに「上演台本について」という一文があります。今回は1554年の謡本をもとに現代の研究者(小田幸子・小林健二)が台本を作成したそうです。どうもお能では代々受け継がれてきた詞章や演出を寸分たりとも変えてはならない印象があります。しかしこの制作裏話の中に、元本の謡曲は抽象的だから別のネタに差し替えたとか、重複するセリフを削除したとか、あっけらかんと書いてあってちょっと驚きました。
現代の詞章は分かりやすいです。分かりやすいだけに、手応えがやや足りないようにも思えます。逆に現代語の響き、たとえば「老眼」とか「悪魔」といった言葉にハッとしました。
パンフレットには佐藤弘夫先生の寄稿「浄土に誘う神」があり、東北の熊野信仰について解説されています。
パンフレットの「現代能楽考」というインタビュー集も読み応えがあります。釈徹宗さん〈人間というのは「つながり」を実感すれば、明日も生き抜こうという気になる。…時にバリアをおろして、無防備な自分になる時間と場所が必要なんですね。宗教儀礼や伝統芸能は、そういう場なんです。…伝統芸能はこちらが感度を上げて、チューニングしていかねばならない。だからバリアがはがれ、共振現象がおこりやすい心身を育むことができます〉。中沢新一さん〈室町時代の芸能哲学というのは、切断して、くっつける、ということで成り立っています。…能の典型的な構成は、前場でまず生死を切断しておいて後場で繋ぐ。そして繋いだまま神仏の世界に昇華させるのが、「祈り」と呼ばれる構造です〉。

http://www.ntj.jac.go.jp/nou/27/natorinoroujo/natorinoroujo.html
http://www.ntj.jac.go.jp/schedule/nou/2015/3982.html