仏報ウォッチリスト

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 仏画を飾る金

先日、静嘉堂文庫美術館の「荘厳された神仏の姿」展を見てきました。同館所蔵の仏画(絹本著色)約30点が展示の中心。いずれも保存状態が良く見応えがあります。3/18まで。
絵画ならではの表現がよくわかる解説文が興味を引きます。宗教画の荘厳(しょうごん)といえば金(きん)です。技法としては金箔を直接貼り込む「截金(きりかね)」と膠液で練った金粉を塗る「金泥(きんでい)」の二つに大別できるといい、本来は濃淡が出せる金泥のほうが描写力に富むのですが、日本では立体感を損なうはずの截金が盛んに用いられてきました。これは〈絵の現実感より「金の輝きの美しさ」を優先するという日本人の感覚を端的に示す〉と教えられて、なるほどと思いました。
その截金がふんだんに使われた本展目玉の「普賢菩薩像」は入り口近く、奥行きのないケースに展示してあり、ガラスが1枚あるものの、いやそのガラスが1枚あるおかげで、作品までわずか5センチほどの近さに寄ることができます。もう不審がられるくらいに接写モードでじっくり見つめてきました。