仏報ウォッチリスト

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 光明寺展を見た

鎌倉国宝館で「大本山光明寺浄土教美術」を見ました。
七五三のおまいりでいつも以上にごったがえしている鶴岡八幡宮の参道。ところが道一本奥まったこの館の閑散ぶりはどういうことでしょうか。名にし負う運慶仏がお出ましだというのに。
入室するといきなり目前にその運慶作阿弥陀三尊像(浄楽寺蔵)。私は今回が初見で、これまで拝見していた写真からこの厚みはまったく想像できませんでした。背が丸く首が短い。ちょうど法然上人の肖像(通称「足曳御影」これは実物より図録のほうが鮮明)と重なってくるようです。
同像がこのたび約30年ぶりに寺外公開となったのは、浄楽寺はもと光明寺末寺で、200年ほど前に光明寺住職が願主となってこの像を修理をしたというご縁があるとのこと。
とはいえ、この大物ゲストが場をかっさらってしまうかというとそんなことはありません。展示構成の主軸はタイトルどおり鎌倉・光明寺の歴史を寺宝でたどること。法然―弁長―良忠と続く浄土宗の法門、その第三祖が光明寺の礎を築き、良忠―良暁と受け継がれ中興の観誉に至る流れを、彫像と文書で示します。
一方、浄土宗信仰の基礎を「当麻曼荼羅」「聖衆来迎図」といったビジュアル作品で紹介しており、その一つのセクションが「阿弥陀如来像」というわけ。ことに〈快慶の創出した安阿弥様の広い流行は、浄土宗教団の活動と軌を一にしており、まさに浄土宗の発展に負うところが大きかったといえる〉(本展図録より)ということがすなおに納得できる仕組み。浄楽寺三尊のほかに、運慶・快慶一派の端正な阿弥陀さまがぐるりと10体あまり。壮観です。