仏報ウォッチリスト

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 江戸時代かながわの旅

神奈川県立歴史博物館で特別展「江戸時代 かながわの旅 「道中記」の世界」を見ました。江戸期の旅人のために編集されたガイドブックと、宿場町を描いた浮世絵を主とした展示。
道中記はビジュアルと情報量のどちらを重視するかで編集方針が違ってきます。見た目の正確さを追求したものには、鳥瞰図法の導入や、道の曲折に合わせて蛇腹本の紙を斜めに継いだりといったこだわりも。文字情報のほうは川の渡り方とか宿の案内といった実用的なウンチクが満載。2段組みの上段は江戸から京へ、下段は京から江戸への説明文を記述するという斬新な編集のものも。
後半は東海道のうち神奈川県内の宿場町をたどる展示。よく知っている土地には興味津々です。メインストリートから見ると、鎌倉、江ノ島、大山、箱根などは寄り道のオプションコースになります。
この道中で信仰に関わるスポットは、江戸側から順に、川崎大師、鎌倉、遊行寺高麗山、大山など(ちなみに鶴見の總持寺は明治に能登から移転してきたもので、この当時はまだありません)。とくに大山詣と坂東三十三所についてはクローズアップ。大山講で納める太刀や御神酒枠って、旅をするには厄介なお荷物に見えますが、そんな苦労があってこその御利益なのでしょうか。
旅を楽しむなんて発想は現代ならではかと思いきや、意外にも江戸時代からずいぶん道中を満喫しており、今日の時刻表や旅行ガイドは当時からの蓄積の上に成り立っていることが分かる展覧会でした。