仏報ウォッチリスト

ここは仏教の最新情報、略して《仏報》の材料をとりあえず放りこんでおく倉庫です。

お能「巻絹」「鵺」

国立能楽堂の若手能で「巻絹」「鵺」を見ました。
「巻絹」は2回目。前回は資料が何もなくお手上げ状態でした。今回は字幕付き。巻絹の納品に遅刻して責められる使者、遅刻した理由が神に歌を捧げていたからだったため、神が差し向けた巫女によってとりなされ、許されるというお話。見所は終盤の神がかった巫女の舞。熊野三山の説明で本地仏の名とその功徳が歌われていました。
「鵺」も2回目。前回は正体不明の生物が主人公なのに単なる謎解きではないことに感嘆しました。今回は主人公が自分を討った頼政を手放しで称賛しているという構図が面白いと思いました。この討伐の場面を、初めは自身で、中ほどでアイが、終盤に地謡がと計三度も繰り返されて強調する。影の主人公は頼政なのでありました。なお、字幕の最初の説明だったか、射殺という言葉があって、なんとなく銃で撃たれる姿を想像してしまいますが、矢で射られるのも射殺なのですね。
 僧の読経で成仏した鵺の謝辞、〈五十二類も われ同性の 涅槃に引かれて 真如の月の よじほ(夜汐)に浮かみつつ これまで来たれり ありがたや〉。五十二類は釈迦入滅の時に参集した一切衆生のこと。五十二と聞くと修行の段階、あるいは興福寺境内への階段を思い起こしますが、それは五十二位でした。