3日前にここへ月刊誌製作の作業について書きました。読み返してみると、組版のミスを印刷前に見つけて、いやーよかったと安堵し、なんとも能天気な書きぶりです。
けれどミスの構造ってのはそう単純なものばかりでなく、時として思いもよらぬ方向から降って湧いたりもするんですよね。きっと、まだ発覚していないミスの萌芽がわんさかと…。そういう不安とつねに隣り合わせ、これはモノづくりだけでなく、どんな仕事にも共通することでしょうけど。
日航機墜落事故の事後処理に関わった人のコメント。やや古い記事ですが、心に響いたので切り抜きを手元に残しておりました。
小川(祐一・JAL客室安全推進部マネージャー)は、スイスの「穴あきチーズ」という例えをよく使ってミスについて説明した。スライスされたこのチーズを何枚も重ねると、偶然すべての穴が重なることがある。その穴が、人間のミスや機械の故障。それが重なる時、事故が起きる。
(朝日新聞2005年7月31日付33面「御巣鷹から―JAL85年組の20年」より)
雑誌のミスが人命を奪うことはめったにないでしょうから、同列に扱うのはどうかとも思いますけど、取り組む姿勢としては何事も同じでしょう。
誤植にしたって、まったく気づきもしなかったなんてのは論外にしろ、ぼんやりと疑わしく思いつつ、でもまあいいか時間もないし、でやり過ごしてしまうことだって現にあるわけです。
プロとして求められているのは、1枚のスライスにあいた穴を見て未来の事故を予見する能力なのか、それとも重なってしまった穴を急いでふさぐ瞬発力なのでしょうか。わが身を振り返って、いずれもまだまだ精進が足りないなと反省しきりです。
――いやいや、これから販売する商品をそう後ろ向きな気分で出荷しちゃいかんですね。月刊誌『在家佛教』11月号、ますます充実の内容で、まもなく刊行です!