仏報ウォッチリスト

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 ブックデザインの本

近所の図書館で、『ブックデザイン復刻版』(ワークスコーポレーション刊、'06.3初版)という本を読みふけってしまいました。
〈本書は2003年に刊行されたDTP WORLD別冊…Vol.1および…Vol.2を編集・増補して、合本したもの…〉だそうで、装丁史を豊富な実物写真で振り返り、デザイナーの生の声や印刷現場のレポートなどを載せています。この書自体、茶色のクラフト紙に白インクでタイトルを印刷しただけの奇抜な姿でして、新着図書の棚でひときわ目立っていました。
それにしても、装丁のアイディアというのは、思いつく限りはすでに実現済みのようです。穴開けるとか、ずらすとか、エンボスとか鉄板とか、スケスケとかふわふわとかピカピカとか。
この装丁家の苦労の結晶は、写真を見てもらわないとわかっていただけないかもしれません。しかし写真を目にすれば今度は実物を手に取ってみたくなるのが人情です。幸いここは図書館、そこで該当書を探してみたものの、凝りに凝った本は特殊扱いをされているのかなかなか見当たらず、かえって新たな欲望をかき立てられもしました。
以下はインタビュー記事で印象に残った言葉の抜き書きです。

 編集者の立場としては、当然、「この案もいいけれど、別の案も見てみたい」なんてことを言ってくるわけですよ。……逆に言うと、あらかじめ逃げ道を封じて、その中から選ばざるをえないような状況に持っていく(笑)〈松田行正さん〉
――「縦横無尽に五感を刺激する、松田行正のブックデザイン変化球」


(型破りなバーコード印刷を)しても大丈夫か、なんて事前にどこかに確認したりするんですか? 「いや、聞かない。だって、前例のないやり方の場合、誰も大丈夫かどうか言えないでしょう。そうしたらやめましょうって言われるに決まってるから」〈ポット出版代表・沢辺均さん〉
――「バーコードの秘密を調査!」


 13級から15級の間なら、視力の弱い人でもそう大きな違いは感じないんです。それだったら、13級まで文字を小さくしても、行間を広くとったほうが読みやすい。〈工藤強勝さん〉
 ……数人のデザイナーに明朝とゴシック、縦組みと横組みの本文組み実験をして……意見を伺ったら、まずゴシックがダメだった。目の呼吸がしにくいと。次に、横組みでは文学の内容が伝わってきにくい、という評価が出た〈同〉
 3点リーダー(…)でメールを出す人はいないでしょう。中黒(・)を3つ並べちゃうわけですよ。それは活字に慣れ親しんだ人から見れば、何とも間の抜けたよくない文字組なんだけど、彼らにしてみれば3点リーダーのほうがすごい珍しいもので。それぐらい今は、文字環境っていうのは激変している〈佐藤直樹さん〉
――以上「可読性を考える」