仏報ウォッチリスト

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 書のデザイン展鑑賞

休日中に出光美術館「書のデザイン」展を見てきました。表現方法において「おっ?!」と思わせる変わり種の書作品を集めた好企画。芦手、裏文字、歌絵……何が書いてあるのか文章を読ませるのではなく、造形の面白さを堪能できます。
こういう趣旨で書かせたら禅僧は強いですね。一休に白隠に雪村。仏教関連ではほかに「理趣経種子曼荼羅」、徳川家康「日課念佛」が出品されています。
ふだん編集に携わる者としてとりわけ目を見張ったのは、千年以上昔に刻まれた碑の拓本と、相似する現代の印刷フォントとの比較検討。解説板で指摘されている拓本とフォントの関係は次の通り。
 ・禮器碑=FA隷書体
 ・爨寶子碑=見出しゴシック体MB31
 ・高貞碑=教科書体ICAM
 ・雁塔聖教序=HG正楷書体
 ・顔勤禮碑=見出明朝体MA31(斜体)
なるほどよく似ています。書体をデザインする際に真似たのかもしれませんし、逆に言えば近年の産物と思われたフォントが実はこんな古くから完成していたというわけ。
ほかにも数百年前の墨蹟と現代作品とを並べてしまうといった構成が大胆。そんな冒険をしても何ら違和感がないところに書芸術の深さを感じました。企画者の意図が明快で楽しめます。