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 尼門跡寺院展を見た

東京芸術大学大学美術館で展覧会「皇女たちの信仰と御所文化 尼門跡寺院の世界」(6/14まで)を見ました。
尼門跡とは、皇族など高貴な女性が住持を務める寺院のこと。現在、京都・奈良に計13カ寺あり、その全てが寺宝を公開する展覧会です。住職を描いた肖像画や荘厳具から生活用品まで180点。
ただの門跡ではなく、一般的な尼寺でもない、「尼門跡」という寺院の特徴をよく示すのが、調度品の数々です。皇女が幼くして入寺すると、文具や化粧具といった手回り品、人形やカルタなどの玩具、絵巻や手鑑など教養のための品々が拝領されます。その多くは菊の御紋入り。大事にされるわけです。
また別の意味で目を奪われるのは、珍しい素材でつくった品。文化財の材質というとふつうは、木とか銅とか紙とか絹とかです。ところが当展示品には、素材が「毛髪」と説明書きされた品がある。「爪」というのもある。参考画像だけですが「手皮」ってのまで。現物は会場でお確かめください。男の感覚とは一味違う信仰のかたちです。
珍しい素材といえば、紙製の仏像というのもあります。絵画ではなく立体です。経典の紙片を重ね貼りして成形されているとか。
というわけで見どころは、大枠としては、知られざる尼門跡寺院が宗派を超え一堂に会していること、と同時に、貴重な出品の細部に驚かされる展覧会でもあります。