仏報ウォッチリスト

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 仏像の道を見た

東京国立博物館へ行ってきました。ラッキーなことに今日は行列がありませんでした(笑)
目的は、特集陳列「仏像の道 インドから日本へ」で担当研究員さんの列品解説を聞くためです。この展示、本館の正面入口を入って真ん前という好位置で開かれています。07年7月に始まり、当初は1年弱の期間限定だったのが、好評につき延長を重ね、現時点では来年4月まで続行の予定。
ガンダーラから西域、龍門石窟朝鮮半島、飛鳥、奈良まで、仏教美術の伝来が当館の収蔵品と簡潔な解説文を配した一部屋で掴めるありがたい展示。地域・時代を超えたこの企画は貴重です。「国宝 阿修羅展」を訪れた仏像好きな94万6千人の皆様はこちらもきっとご覧になったことと思います。


そのほか、館内を駆け足で巡って見かけたのは、

  • 「仏像の道」の部屋に銅製の薬師寺聖観音菩薩立像の模造があります。そして階段を昇って第1室にも同じ聖観音菩薩立像の写しがあり、こちらは木製。同じ建物の中に同じ仏像の精巧なニセモノ…もとい模造が2体。なんだかクラクラしてきます。
  • 国宝室は「竹生島経」。端正。7/12まで。
  • 第3室の「大毘廬遮那成仏神変加持経」(鎌倉時代)が目を引きました。はじめ経典のあちこちに落書きがあるのかと思ったらそうではなく、〈本経は、散らし書きの仮名消息を料紙として、故人の供養のために書写したもの〉だそう。よく反故の裏面を別の用途に使った古紙が展示されたりしますが、この作品は文字が反転していないので、同じ面に書かれているのが明らかです。こういう供養の仕方があるのを知りました。

なお、本館隣の東洋館が耐震補強工事のため今日から休館。工期は「当分の間」とのこと(約3年とも)。一周すると元の場所に戻れる本館と違って、東洋館というのは手広い展示物といい複雑な昇降といい、まさにワンダーランド。見られないとなると無性に見たくなるものです。


〔この項つづく〕