仏報ウォッチリスト

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 「仏原」「車僧」

宝生能楽堂お能を2番見ました。

「仏原」は、平家物語の白拍子仏御前が故郷仏原で僧の前に姿を現す話。類曲の「祇王」は現在能で清盛に白拍子祇王よりも仏御前が寵愛される場面でしたが、本作はその後日談に当たります。
後場では舞が中心で、祇王が捨てられたの見て明日は我が身と思い、そうなる前に出家したといいます。その諦観と潔さ。
「ひとりなほ 仏の御名を尋ね見ん おのおの帰る 法の場人(にわびと) 法の場人の 法の教えも いくほどの世や 前仏は過ぎぬ 後仏はいまだなり 夢の中間(げん)は この世の内ぞや ……」

つづいて「車僧」。これは手元の謡曲集に収録がありません。僧侶を天狗が攻めるも逆に負かされるという内容らしいので、狂言みたいのを想像していたら、まったく違ってシテとアイが順に一人芝居をするという感じ。太鼓が入るため詞章が聞き取りにくい。前場の問答は勧進帳みたい。アイの挑発は形式的。それにしても、破れ車に乗って諸国を経巡っていて、何をされても動じない僧というのはよっぽど怪しい。天狗が邪魔しようと思うのももっともな気もしてきます。