日本橋高島屋8階ホールで展覧会「隠元禅師と黄檗文化の魅力」を見ました。萬福寺開創350周年として2011年春に九州国立博物館で開催された「黄檗」展(未見)のおそらくミニチュア版。だいぶ端折られていることと思いますが、それでも“魅力”を伝えるには十分な内容です。
開祖の隠元隆琦禅師については肖像画と自筆の書を複数展示し、そのお人柄までが伝わって来るよう。筆跡は力強く、迷いがありません。続いて萬福寺を彫像と備品で紹介。范道生が作る像は肉付きのよい存在感が特徴。どこか異国風の顔つきながら、しぐさに人間味があふれています。
次に中国由来の独特な黄檗文化を解説。インゲン豆をはじめ、木魚も、原稿用紙も、煎茶も、寒天も。唐絵は伊藤若冲ほか上方の画家たちに影響を与えたと言います。煎茶と普茶料理に関しては展示のほかに現物の紹介(有料)もありました。
黄檗宗は鎌倉仏教に比べるとエキゾチックで突飛な存在に思えますが、実は日本の伝統に深く影響を与えてきたことがよく分かりました。黄色を基調とした図録が懐かしくも新しいデザインでなかなかキュートです。